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3年

礼に連れられて渡り廊下まで行く 皆教室で友達作りに勤しんでいて、誰も通る者はいない。 「千聖、怒ってるぞ、多分。」 「絶対だな」 壁にもたれ掛かりながら2人で座る 「なんで俺だけ呼んだ?」 助かったけどね?千聖の前じゃ言えない。 「だって、2人の話からして、千聖に何かあったから、優が変なんだろ?だったら優から聞くのが一番いい。」 「話が早くて助かるよ、礼。」 「ふっ、で?どうしたの?」 礼と、2人になってようやくゆっくり考えられる気がしてきた。そうだよ!分かち合える人と話さなきゃ1人で考えたって分かんないじゃん?? あ、…………いや、待てよ?礼って。 ぶっちゃけ、すごく言いたい。 この気持ちを理解してくれるのはきっと礼だけだ。でも…………。礼と俺はたったひとつだけ千聖に関することで違う認識を持っている。 「あれ?何?どうしたの?」 礼が顔をのぞき込む。 …………俺は1人で抱えることが出来なかった。 「実は……、ち、千聖がね?ーーーーーー」 俺の知り得る情報全てを礼に話す。 といっても、礼が知らないたった2日分 礼は目を見開いたり、顔を動かしたりしてたけど、何も言わなかった。 「で、とう言う訳なんだけど……礼?」 「…………。つまり。千聖が何らかの理由であの囲まれてたでっかい奴に惚れてるって事?」 「あ、うん。でも惚れてるかはわかんない。 けど何かあったのはほんとだと思う。」 「あーーーー!!!!」 礼は手で顔を覆い、下を向いて叫ぶ そりゃそうだろうよ。 実を言うと、礼は千聖を恋愛対象として好きだ 俺はそれを礼に聞いて知ってたけど、人の感情に敏感な癖に、自分に対する好意に鈍感な千聖は気づいてない。あれこれアピールしたり、特別扱いしたり、側にいたりする礼を見て俺はいつも同情してたわけである。 3年も。 まさか3年の片思いが2日に負けるなんて 想像を絶する苦痛だろう。 (下手したら千聖と奏は昨日何かあって、そうなってる、つまり1日だけかもなんていう想像はしたくもない。) 正直、言ったあとでなんだけど礼にかける言葉が見つからない。 「優斗。」 ビクッと体が震える。久しぶりに礼に優斗と呼ばれた。同じ『優斗』でも呼ぶ人によっては与える印象……どころか殺気すら感じる。 「教えてくれてありがとう。」 「え?あ、うん。れー、大丈夫?」 「あー。うん。大丈夫ではないけど」 だよね。 「見てるつもりも無いんだよね。」 だ、だよねーー。 3年か。……なっがいな。

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