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温厚?

がんウザイ。 詰め寄ってくる女達の香水やら化粧品の匂いで頭まで痛くなってくる。 「ねぇ!チヒロってほんとなの!?」 「そんな感じの人いなかったよ!!」 ツ○ッターだのなんだのでチヒロを調べたらしい女達が嘘なんでしょ!?と言ってくるんやけど、お前らまじか。 はァ、めんどい。しつこすぎる。 千聖は朝囲まれてから、戦意喪失したかのようにぐったりしとる。まぁ恋人は自分やち言えんやろうし?名前は妹の事やとも言えんやろう。 それに隙あらば女に囲まれて、千聖と全然話せてなくて。何かキレ気味やった。人当たりはいい方やけど、ここまで来るとどーでもいい。 「あんさぁ?何でそんなことばいちいち教えやんと?」 「……え、」 一気に教室中が静けさを思い出す。 男も今まで曖昧な俺がキツく言い放った言葉に動揺していた。 千聖もびっくりしてこちらを見ている。 「……で?何で?」 2m近い奴に見下ろされるのはかなりの威圧感やろうな~。 「っ、え、だって、気になるし。」 「気になったら無理やりにでもってこと? じゃあさ、教えてよ。今まで何人と付き合って、そいつの名前は?出身は?性格は?」 「え?あ、いや。」 「言えんとやったら、人に聞くな。 まあ、言われても欠片も興味無いけど。」 そう言ったら、数人が泣きながら教室を飛び出し、他クラスの奴らも帰っていった。このクラスの奴らは固まって、怖いとか温厚だと思ってたとか口々に言う。 温厚?誰がそんなこと言ったん?一言も言ってなかろーもん。 がたっと席に座る。やっと座れた。 「……奏?」 隣の自分の席に座った千聖が声をかける。 少し微笑んで何?と言うと、少し顔が引きつっとる。ちょっとおもろい。 「良かったのか?あんなこと言って。」 どうやら、さっきの発言を気にしとるらしい。 「えーよ?別に。何も困らんし。むしろ楽やわ。いちいちしつこいのは嫌やし。」 「そう、なら、いい、けど?」 カタコト それに、千聖に手でこいこいとする 寄ってきた千聖の耳の側で 「千聖がおればそれでよか。」 小声なんに、誰かに聞かれ取らんかとキョロキョロする千聖に愛らしさが募る。 やっぱ、好きなんやろうな。

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