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カルボナーラ
俺と奏は最近一緒に通学している。
互いのことを知るために色んな話をしてるんだけど、よく考えると俺が奏について知ってる事って少ないなぁと思う。特に家族に関しては教えてくれない。
本当は、昨日スポーツに関して話していて盛り上がって聞くタイミングが無かったから、今日頑張って聞くつもりだったんだけど。
「いちいちしつこいのは嫌やし。」
俺は昨日奏が、言った言葉が彼女について聞いてくる女子達に向けられたものだと分かってはいるんだけど、何となく自分にも詮索するなと言われているような気がした。
奏は好きだからって、無理したり、我慢したりするのは違うって言ってくれたけど。
でもやっぱり、好きな人に嫌われたくなくて、ついつい合わせてしまったり、嘘をついたりするのも正直あるんだと思う。
「千聖?どげんしたと?」
「え!あっ、いやっ、……何でもない」
暗い顔でもしてたかな?咄嗟に下を向く。
「嘘やん。何??」
「本当に、何でもない、」
ドクン、ドクンと鼓動が打つ。
なんだろ、この悪さをした後の犬の気持ちが分かりそうな心拍は。
いたたまれなくなって少し目を閉じると、ムギュっと奏から頬を掴まれて上を向かされる。
「嘘。ゆーて。」
目の前に奏の怒ってるような、心配してるようなそんな顔が見えて、言ってしまいそうになる
奏が手を下ろすけど、俺は顔を下に向けれない。
「あ、…………奏のか…………………カルボナーラが食べたいなって………………思って?その、」
目を合わせられなくなって、視線を移動させる。
「……千聖。なしたん?ほんとに。…………ゆーてよ。お願いやけん。」
奏を見ると辛そうで。
でも、
『いちいちしつこいのは嫌やし。』
「ほんとだよ。カルボナーラ好きなんだ」
どっちかって言うと、ペペロンチーノの方が好きだけど。
はぁっと奏のため息が聞こえる。
「……分かった。今日学校おわったら俺ん家行こ。」
え、今なんて?……家に行く?
「え?なん、で、」
「カルボナーラ食べるとやろ?」
何となくやばい気がする。
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