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まって!

今日、一日中考えてた。何て誤魔化そうか、いっその事言ってみようか。 でもしつこいって思われたら? 結局その結果しか思い浮かばなくて、 誤魔化す理由も思い浮かばない。 ほんと、自分に呆れてくる。 「……はぁ。もうよか。勝手にすればよかやん?よーわかった。千聖が俺を信用してなかってね。」 え? ドクンと心臓が波を打つ。 「っ、違っ!!」 違う!そうじゃない。 そう言いたいのに、 奏の悔しそうな、寂しそうな顔が見えてしまったから、声が出なかった。 それは一瞬で。奏は背を向けて歩いていく。 まって。まって、奏。 違う、そうじゃない。怖かっただけなんだよ。お願い。傷つけてごめん、ちゃんと向き合うから、話をしようよ。 まって。奏! 「……まって!!!!!」 少し走って奏の腕を掴む。 「まって、お願い。やだよ。お願い、ごめん、逃げてごめん。お願い。話をしようよ。」 言葉ってどうやって出てるのか分からなくなる。必死に音を出す。 「千聖?」 「……お願い。…………奏。」 腕を掴む手は震えてしまったけど、伝われ 「落ち着いた?」 結局、奏の家に来て、ココアを入れてもらった。……奏はもちろんブラックコーヒーだ。 「…………うん。」 「ごめん、あんな事ゆーて。………………俺、意外と余裕無くて。ほんと、追い詰めたやろ?ごめんな?」 奏がコーヒーと俺のココアをテーブルに置いてそっと優しく腕を回して俺の背中をポンポンと叩く。 泣きそうになって奏の背中に腕を回して服を掴み、顔を胸に押し付ける。 奏は何も言わずにそっと髪を梳いてくれた 互いの体温を交換するのは、とても心地よく、幸せだ。 「俺の方がごめん。逃げてばっかりで。 ちゃんと話すよ。信じてないとかじゃないんだ。怖いんだ。奏に嫌われるのが。」 俺が奏を好きでも、奏は本当は俺が好きじゃないかもしれない。 たとえ好きでいてくれたとしても、ずっとじゃないかもしれない。 それは俺にも奏にも分からない。 形の無い不確かなものだから、 いつだって怖さが付きまとう。 それは消えてはくれないけれど、向き合っていかなきゃもっともっと怖くなるだけなのかもしれない。

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