「はぁ。」 隣から聞こえるため息は何回目だろうか。 オマケに今日はどんよりした曇り空でなんだかさらに億劫な気分になる。 「ふぅ。」 「おぃ。奏。こっちまで暗くなるだろ」 奏は少しこちらに目を流して…………色気が半端ない。どこで覚えてくんだよ、そんなの。 奏は応えることなくまた多めに息を吐いた。 どうやら相当誕生日会が疲れたらしい。 まぁ、無理もない。 あれは無い。 奏は呆れたらしく数回、快斗君と雅人君と言葉を交わすと黙ってしまった。 のだけど、相手が黙ったからって大人しくなる人達ではなく、その後も質問攻めだったんだけど、何となく……。 何となくだけど、奏が優斗の事好きってずっと言われてるのがその、気に入らなくて、否定とかしてみた。可哀想になってきたっていうのももちろんある。けど。 奏が優斗を好きって言うのは無いと思うけど、それでも聞くのは何となく嫌だった。 チラっと奏を見ると、ニヤニヤしていて 「な、なんだよ」 「ふふー。千聖、今なんば考えよったん？」 うっ。 「な、なんも。」 目を思いっきり逸らしてしまった。絶対笑ってる。 「ふーん。」 恥ずかしくなって見れないけど、声色で色々分かるようになってきて、奏の事結構しれた気分になって、少し頬が緩む。 「まぁ、よか。 そや、今日一緒にどっかいこーや？」 奏を見るとさっきまでの憂鬱そうな顔じゃなくて、もしかしたら鬱憤を晴らしたいのかもしれない。 けど……。 「あー、ごめん。今日部活なんだ」 「は？千聖部活入っとったん？いつ？」 「優斗の誕生日の少し前」 そう。もともとバスケ部に入るつもりだったんだけど、その、あの、入学初日から色々あったし。体も辛かったし。気持ち的にも部活できる感じじゃなくて、タイミングを逃してしまった。 けど。先に入ってた優斗と礼が俺の事を紹介してくれたらしくて、何とか優斗の誕生日前に入部する事が出来た。 と言っても今日が顔合わせで、朝からかなり緊張してる。しかも近くの学校と練習試合らしい。どっちの高校も1年を使って実力とか動きとか相性を見るらしくて、俺も優斗と礼以外知らないけど今日早速試合をする。らしい。優斗曰くだけど。 その事を奏に話していると大して興味無さそうだったくせに、急にニヤｯとしてこっちを向いた。黙っとくけど、普通に怖い。 「千聖～俺、今日の試合見に行ったるわ」 …………言うと思った。 そして嫌な予感しかしない。