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予感の音

久々に履くバスパンとバッシュの感覚に酔いしれたさっきに戻りたい。優斗と礼と着替え終わった俺は今バスケ部の使っている体育館の扉の前にいた。心臓の鼓動が速い。 帰りたい 深呼吸してギキーと年季のある扉を引く。 中からキュキュッというバッシュ音や、シュパッっとシュート音、ダダンっとドリブル音が聞こえてくる。それにこの体育館独特の匂いに雰囲気。そんなに昔じゃないけど懐かしい。 「ッ。ふぅ。今日からお世話になります! 1年B組夏目千聖です!よろしくお願いします!!」 誰もが手を止めて俺を見る。冷や汗が流れる。こんな中途半端な時期に入ってきてなんだコイツって思われてるかも。 そんな感じで固まっていると、青のバスパンの人を先頭に3人近づいてきた。 え、え。何か言った方がいいかな!?え、えっ、なんて!? 俺が口を開くより先に青いバスパンの人が声をかけてきた。 「おぉ!お前が夏目かぁ。よろしく! 桜庭も嘉村も相当上手いけど、その2人が口を揃えてお前は上手いって言うから気になってたんだよ!入ってくれて嬉しいよ!」 どうやらアウェーじゃないみたいで良かった 「俺はバスケ部主将の青城孝道(あおきたかみち)だ、ポジションはPF(パワーフォワード)。夏目は?」 青城さんは俺と同じ位の身長だけど、俺よりがっしりしてて何か頼りになる感じがした。 それに話しやすい。 「あ、SF(スモールフォワード)です!」 青城さんの後ろに居た2人も話しかけてくる 「僕は副主将の赤瀬悠(あかせゆう)です。ポジションはPG(ポイントガード)。僕も楽しみにしていました。これからよろしくお願いします。」 ニコッと笑う赤瀬さんはメガネをしてて長めの髪をハーフアップにしてる。話し方も丁寧で優しそうだ。 「黄界レン(おうかいれん)、SG(シューティングガード)」 赤瀬さんによろしくお願いしますと言おうとしたら声をかけられた。 黄界さんは無口そうだなって思ったけど、見た目と綺麗に一致する人だったみたいだ。背も凄く高いし、C(センター)かなって思ったけど違った。 残ってる3年生はこの3人だけみたいで後の2年と1年はおいおい知っていく運びになった。 そんな感じで部内の雰囲気に慣れ始めた時、それを綺麗に崩れされる嫌な予感の始まりの音がした。 ギギギと少し重たそうに開く扉の音 この高校の体育館は4つある。私立なだけあって部活動に力を入れているらしい。バスケ部が使えるのは第1体育館と第3体育館。日によって使える日があったり、結果や成績でも変わるらしい。けど青城さんの率いるバスケ部はそこそこ良いらしくて1週間丸ごと第3体育館を使えるらしく他の部活の生徒はいなかった。 第3体育館は入口が1階と2階にあって2階では観戦が出来るのだけど。 後に青城さんは言った。 「俺部活中にあんなに沢山の女子を見たことねぇなぁ」 と。

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