85 / 108

「はぁ!?」

「あ、優斗!!!!」 どうやってクラスに戻ったかは覚えていない。ただそこには千聖が居て、何となく奏が近くにいる気がして探したけど居なかった。 「お前、どうしたんだよ。急に。なに避けてるんだ?何かあったのか?」 「…………」 避けてなかったとは言えないが、上手く避けてたつもりだった。主演男優賞……いけるな、って思ってたんだけどな。 なんて言おう。どう切り出そう。心臓がキリキリ痛いのに、肝心の言葉が出てこない。いつもの俺はどうしてた? 「……俺に言えないことなのか?」 限界だった。 カチンだか、ブチンだか、何かしらの音が聞こえた。 「はぁ!? …………………………言ってないのは千聖の方だろ??最近いっつも辛そうで!前まで病気以外で休んだことだって無かったくせに!何があったかなんて言ってこない!!!!!メールだって返しやしない!返ってきても、何か言ってきても、大丈夫!大丈夫!!って!!!!どこが!?何が大丈夫なんだよ!!そんなに俺は頼りないか!?!?そんなに奏しか見えてないのか!?!?今までの俺たちってそんなもんなのか!!!!!!!それなのに千聖は言えって言うのか??俺に言えないこと?だって??笑わせるな!!!!!言わないのは千聖じゃんか!!!!!!!」 「……ゆ、と」 ……………や、やってしまった。 千聖が俺に心配かけまいとしてくれてる事分かってるのに。千聖が頑張ってることも、本気で奏が好きな事も分かってるのに。 分かってたのに。 「あ、………ご、ごめん!!!!」 「……」 「今のは、その。」 「本音なんだろ?…本音でいいよ。」 千聖の顔が見れない。

ともだちにシェアしよう!