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簡単な変化

ドッドッドッと心臓が痛い 踏みとどまれてよかったと思うのに、どこかで残念に思ってて、自分が分からなくなる。 長い長い時間をかけて教室に戻った。 どこをどう通ったかなんて覚えてもなければ、先生を無視して叫ばれた気もしたけど、そんなのは正直どうだって良かった。俺を作っていたものはこの数十分の間に物凄い変化を遂げたのだ。 「ん?あ、伊織ー遅かったな」 「優斗君大丈夫だった?」 「……俺が大丈夫じゃない」 「「は?」」 俺、もしかしてもしかしなくても男を抱こうとしたよね?ねぇ、俺そっちだったの?人間ってこんなに簡単に変われるもんなの??え!?変われないから皆悩むんじゃないの??変わることでこんなに悩むやついる!?居るかもだけどさ!秒だよ秒!秒で変わったんだよ!? いい?ってなんだよいい?って。 色んなことが責め立ててきて、整理が追いつかない。 「おい、伊織どーゆーことだよ?」 「何?優斗君は?どうかしたの?」 「ごめん、まとまったら答える。ちょっとまとめさせて。やっぱりまとめって大事だよね?だってまとめだよ??」 「……マジでどーしたんだよ」 「怖いんだけど?」 まさか今日が自分の命日だったとは。 俺ってなんだったんだろ〜。 誕生おめでとう、新しい俺。…誰? どどどとどどとどどどどどどどどど もう迎えの足音が聞こえてくる? あれ、これ心臓か? ド、ドタバタバタン、 あ、転けた? ドドドドガラガラ!!!! 「伊織センパイ!!!!!!!!!!!!!!」 伊織先輩。伊織、イオリ……あ、俺か。 なんだよこのくっそ忙しい時に 「ん〜?なー、ni」 「伊織センパイ。」 優斗……君??

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