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優越感と黒い影
「は、え、は、はぁ??」
なんかあるだろ?なんか、ほら、こう、さ!
スペルミスでもいい。この際スペルミスでもいいから、なんかあれよ!!
「きゃー!!奏君かっこいい!!」
「凄すぎる!!!頭いい!!!!」
「しかもイケメン、やばいよね!!ほかの男子霞む霞む」
そりゃね、霞むでしょうよ。
平均点62点が何位か知らないけど。
霞んで霞んで仕方ないでしょうよ!
「あ、こげんかところにおった
千聖なんしょっと?音楽室行くばい?」
「あ、奏。」
「ん??なーに、?」
きゃー〜!!!!と周りが余計に音階を上げてうるさくなる。奏はまるで俺しか居ないかのように振る舞うけど、それが逆に彼女たちを刺激する。
「………また、あいつ」
「調子乗ってるよね」
「そろそろ目障り通り越して邪魔」
黒い策謀が渦巻くことになるのはもう少し後の話
「あ、いや、お前1位じゃん」
「ん?………あー、中間の順位、か」
「…、いや、全然勉強してなかったじゃん」
「教科書に載っとったしね〜」
「……」
いや、そりゃ載ってたけど。そんなこと言うならお前書いてあること何でも暗記できるのか!?……できそうだな。
「お、おめでと?」
「……ふは、あはは、なんそれ、何の賞賛?」
「1位だから」
「ふふ、ありがと〜」
あまりに柔らかく笑うから、珍しいと思ったのか、周りの女子たちも口々におめでとう!!!!と奏に発する。
俺すらも耐え難い流し目を披露した奏は、俺と優斗に再び移動教室の認識を与えた。
「ほら、行くよ」
「うん、」
なんか、この特別扱い……
ちょっとソワソワするけど、嬉しいかも。
「ねぇ、米村さん、うちら友達だよね?」
「もちろん言うこと聞いてくれるよね?」
「え、…で、でも、あ」
「あ"??」
「何?できないの??」
「あ、その、」
「いーんだよ?別にただあんたの秘密バラしちゃうから、さ。」
「そうそう、可憐なオジョウサマの秘密をね」
「まっ!」
「だったら、やれって」
「夏目に痛い目見させてやるんだからさ、ね?」
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