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色仕掛け
「か、奏!」
「んー?どした?」
ご飯を食べて、コーヒーを飲む。ルーティーンになる行動と、それに反比例する千聖。
ソワソワと気が抜けてる割に、俺の動きとかに敏感で、ずっと視線を向けてくる。
「その、さ、」
ダボッとした服を軽く掴んで、恥ずかしそうに伏し目がちに、ちっさい声で訴えてくる。
「んー?」
コーヒーをガラス机に置いて、千聖の方を見る。
ついでに千聖の持っていたカフェラテも置いて、千聖の両手を持って目を覗き込む
「なぁに?、どした?」
「あっ、」
ぶわっっっっ!!と音がしそうな程、真っ赤に顔を染めた千聖は少し、体を引いて逃れようとする
逃がさんけど?
「あ、いや、……痛い、話して」
痛い、ねぇ?
「あれ、ごめんな。そんなに強く握ったつもり無かったんけど、」
ぱっと手を離して、千聖から少し距離をとる
「え、あ、違っ」
少し微笑み千聖の頬を撫でながらごめんな?ともう一度繰り返して、風呂沸かしてくると立ち上がろうとする
千聖の最中の「痛い」は多分、嘘やろな〜とは思っとった。けど、手酷くされたこともあるし、トラウマになっても嫌やし、何より自分の性癖が少しサドやからほんとに痛いのかもしれんという引っかかりもあって、中々真意を掴めんやったとけど、さっきの痛いで納得した。
痛いて言うたら俺が引く。
さっきのは不本意みたいやったけど、最中のは気持ち過ぎて?逃げるためかな〜
けど、ホンマに痛いんやなくて良かったわ
「待って!!」
グイっ!と腕を引っ張られて立ちかけの俺はまたソファーに戻された。
バランスが崩れてボブっと沈む
「おっ〜と、何??」
「俺、その、」
恥ずかしくて泣きそうな目をズラしながら、俺の腕にしがみつく。
え、なにこれ。可愛い。
耳まで真っ赤。
ははーん、なるほどねぇ。
「なーん?千聖、もしかして色仕掛け?」
「いっ!?」
ビクッとなって一瞬離れるも、
すぐにまたしがみついて、こくんと頷く。
かわい、、、じゃなかった。え。かわい。
へぇ、あの千聖さんが。
「奏、、シよ?」
うわぉ、
ギューって。ギューって。なってる。可愛い。
え、襲おう。
もう我慢とか、痛くない研究とか無意味。
もう、痛いとか関係ないやんね?
痛い=気持ちいいでしょ?
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