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喉
「っ、ふ、ぅ......っ」
できる限り端に行って自分の肩を抱きすくめながら丸まって声を殺す。
ポロポロ頬を生暖かい雫が伝って寝間着と布団を濡らしていく。
奏を起こさないように、
「っ" っ"っ」
それでも時折体がビクビクと空気を求めているのか揺れてしまう。
「...、ん.........千聖、?............なしたん?」
「っ"っ!」
あ、まずい。
「何でそげん端っこにおるん?」
奏が、起きてしまった
でも涙は止まってくれないし、声を殺してた分喉が痛いから不格好な返事すらできない。
「千聖?......おいで?」
優しい、温かい声
振り向いて縋ってしまいたい
でも
ふるふると首を振る
「そっか」
「っ!?」
グイっと突然肩を抱きしめていた手ごと掴まれて背中側だった方に向かせられる。奏が視界に現れて、そのままなし崩すように奏の胸にすっぽりと収まってしまう。
腕枕で頭を包み込まれてもう片方で背中を摩ってくれる
さっきまでどんどん冷めていくような感覚だったのに、今は暖かくでじわじわと色んなものがこみ上がってくる
奏が濡れちゃう 起こしちゃった 温かい
恥ずかしい 寂しい めんどくさいやつ 迷惑
邪魔
夜中に泣いて起こしちゃうようなこんなめんどくさくて迷惑な奴なんてやっぱり、
要らない
「...千聖〜、はよ気づいてあげられんでごめんなぁ」
「っ、ふ、.........っ"、......ぅぅ」
「それ、喉いとなるやろ?声出してええよ??」
なんで、そんなに
ふるふると奏の胸に頭を擦り付ける
「...千聖、」
奏が少し背中を逸らしながら両手で俺の顔を上に向ける
イヤイヤと身動ぎするが、それは些細すぎる抵抗だった
顔が対峙すると、余計にポロポロと涙が零れて
指で拭われた雫は耳元に溶けていく
「どしたん?」
「やっ、」
顔を包み込む両手をどけたいのに
優しいのにビクともしない
「...どっか痛い?............熱、は無いな、」
「ちがっ、.........なん、で、っ、ぅ、"、もな、」
上手く呼吸ができなくて、返事がたどたどしくなる
「んーん、何でもなくない。何でもなくないよ?」
ちゅっとおでこにキスが落ちてくる
「ほ、とにっ..ッ .なでもな」
「じゃあなんでもなくてもよかけん、ゆって?」
違う、ほんとに、迷惑かけたく、無いんだ
「.................っ、ぅぅ、っ、ヒュ、ヒュ、(!?!?)」
「千聖!」
「ヒュ、っ、ヒュ、、、、っ、く、る ヒュっっっ、し」
「千聖!!落ち着いて!」
呼吸ってどうするんだっけ、
苦しい 息ができない
胸も痛くなってきて涙も出てきた
ヒューヒューと隙間風のような単純な空気の出入りを繰り返す
奏か何か言ってるけど、初めての出来事にいっぱいいっぱいで理解ができない
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