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過呼吸

「千聖!?落ち着いて!」 何度呼びかけても千聖は苦しそうに喉と胸を掴みながら、ヒューヒューと怪しい音を鳴らしている 空気を取り入れようと必死なのか悪循環を作ってしまっている 千聖を抱き起こし左手で肩に頭を寄りかからせて撫でながら、右手を背中に回してトントンと一定のリズムを作る。 「っ、ぅ、ヒュ、ヒュ、っっ」 「千聖。聞こえる??ゆっくり、ゆっくり」 「っ、ヒュー、ヒュー」 「うん、そうそう、ゆっくり、ゆっくりでええよ」 だんだんと背中の膨らみが大きくなっていく 「.........っ、ふぅーヒュ-、はぁー、」 「一緒やで。すー、はー」 「ふーーー、はぁー、」 だんだん落ち着いてきて、いつもよりは大きく呼吸をしているが問題ないレベルになった。 「千聖、苦しかったなぁ。」 「ふぅ、 はぁ、 すぅ、」 「もう大丈夫やよ 苦しくない?」 コクっと左肩が揺れる 良かった。 撫でる手を止めることなく、そっと肩から頭を離さして目を見る。 余程苦しかったんやろな、目は涙の膜が厚くなって 結構前から泣いとったかもしらん、涙の筋もある 「千聖。何でもなくないよ、.........たとえ小さいことでも何でもなくないんよ。」 「どしたん?」 「はよ、気づいてやれんでごめんなぁ」 目を逸らしたがるから顔を包んで固定する それでも必死に逸らしたがるから言葉をゆっくりかけていく 俺の手も濡れるくらい涙が溢れてきて、 ホンマに、なしたん? こんなん絶対大丈夫やないやろ?

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