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第11話 君は誰?
『優ちゃん。好きだよ。大好きだよ。』
心翔が顔を真っ赤にして恥ずかしそうに僕の手を握りながら言った。
僕も心翔が好きだ。
『心翔。僕も心翔が大好きだよ。ずっと一緒に居よう。』
そう言って心翔の手を握り返そうとしたら目の前が真っ暗になり心翔が消えた。
『えっ?心翔・・・。どこに行ったの?心翔!』
直ぐ目の前に手が伸びて来て僕の腕を掴んだ。
僕が心翔と言う前に、聞きたくない声がした。
『お前が居なくなれば良かったんだ。お前さえいなければ・・・。』
止めて!
お父さん!
嫌だ!!
助けて、誰か!
声に出したいけど声が出ない。
伸びて来た手と反対の方に逃げようとした時、目に映った物は床一面赤く染まりそこには母親がうつ伏せに倒れていた。
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