29 / 903

第11話 君は誰? Side心翔

暫くしたら八坂の父親と遥兄さんが病室から出て行った。 無視され続けてる俺と八坂2人だけになり俺は気まずい感じで立っていた。 「座れば?」 えっ? 今、俺に話しかけてきた? 俺は単純だから今メチャクチャ嬉しい。 座りたい。 八坂と話がしたい。 でも熱があるんだよな・・・・。 「あっ、うん。でも、俺が居たら寝れないだろ?」 「熱は、大した事ないよ。気を失ったのは・・・熱のせいじゃない。」 熱のせいじゃ無いと言う八坂。 なんか悲しそうで今にも消えてしまいそうな感じがした。 今は1人にできない気がしたから八坂に言われるまま椅子に座る事にした。 俺は八坂の身体の事を思い静かに座っていた。 「俺、遥先生の患者。」 「えっ 」 俺は驚いて声を出してしまった。 なぜなら遥兄さんは精神科医。 内科医とか外科医なら身体に何かあって倒れたのかとか思うけど・・・・。 だから遥兄さんが八坂を下の名前で呼んでたんだ。 「なぁ、父親に刺された事ある?お前が居なくなれば良かったって言われた事ある?」 八坂? 八坂の言った事の質問に理解が出来ないでいると何時も無表情な八坂が苦しそうな顔をして話し始めた。 それは、俺が初めて見る八坂の顔。 「母親がさ・・・俺を庇って死んだんだ。親父・・・母親を刺した後俺も刺した。本当は、俺だけを刺すつもりだったんだけどさ・・・母親が、庇うもんだから・・・・。その後・・・ぼんやりとしか覚えてないが親父・・・目の前で自殺した。」 俺は、頭の中が真っ白になった。

ともだちにシェアしよう!