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第3話 ブルースター

「鏡、持ってくるから待ってなさい。佐倉くんと三好(ミヨシ)さんありがとうね。一緒に来てくれる」 桃お姉様は副店長さんとスタイリストさんを連れて下に降りて行った。 心翔とすれ違う時に何か言ったみたいで凄く驚いた顔をした。 今、2人になりたく無いよ。 心翔・・・。 僕は心翔の方を見れないまま指にされたネイルをボンヤリと眺めていた。 「ありがとう。優ちゃん・・・。心臓止まるかと思うくらい可愛くて誰にも見せたく無い」 そう言って心翔は背後から僕を優しく両腕で包んでくれた。 「心翔・・・僕・・・女の子に見えるの?」 「見えるよ。このまま閉じ込めておきたい。俺だけの優ちゃん」 心翔は僕の頬に軽く唇をあてた。 心翔が触れる箇所は熱をもち始める。 心翔は腕を僕から離し前に周り込んで僕の前に跪いた。 何? 僕の左手を取ると左指の薬指に指輪をゆっくりと滑らしていきその指輪に口づけをした。 ドキドキする。 心翔・・・・。 指輪に口づけした後に心翔の顔が段々と僕に近づいてくる。 見つめられながら恥ずかしいのに目を反らすことが出来ず僕は握られたままの左手に力を入れた。 「クスッ。優ちゃん、目閉じて・・・恥ずかしくて・・・」 「だッ・・・。うぅッッ」 またぁ〜!! いつも僕が言う前に口塞ぐんだから心翔! 何が恥ずかしいんだよ・・・。 心翔のキスで頭の中が真っ白になって行くゆっくりと舌を絡めお互いを味わうかのようにネットリと舌が絡み合う。 何度も何度も角度を変えてまるでそこは2人だけの空間。 雑音も聞こえない。 聞こえるのは舌が絡み合う卑猥な音と欲情が抑えきれない2人の息遣い。 心翔といつまでもこうしていたい。 ずっと・・・。 心翔の唇がゆっくり銀の糸を引き離れていく名残惜しいと言わんばかりに銀の糸は輝いている。 心翔の額が僕の額を軽くコッツンとした。 左手を握りしめ右手は僕の頬に軽く当てられている。 「好きだよ。優ちゃん。」 心翔の言葉が嬉しくて恥ずかしくて頷きながら照れ笑いをしてしまった。 そんな僕に心翔は優しく微笑んでくれる。

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