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第5話 4人で

「それじゃあ、西山先輩。もうすぐ授業が始まるんで失礼します」 僕は西山先輩の横を通り過ぎようとした時に腕の肘のあたりを掴まれ引っ張られた。 あまりにも急だったので僕は後ろにバランスを崩し西山先輩に後ろから抱きしめられる形になってしまった。 「うわっ!!」 「危ない!」 そう言って西山先輩が僕を支えてくれる。 元はと言えば西山先輩が僕の腕を掴んだのが悪いんだからね。 でも先輩だからお礼は言わなきゃね。 「あっ、ありがとうございます」 「どういたしまして、優ちゃん」 耳元で囁かれて振り返ると西山先輩の顔が僕のスグそばにあった。 この人なんだよ。 「うわぁ〜。近くで見ると可愛いね」 「可愛くないから離してください。てか、優ちゃんとか呼ばないでください」 「嫌だ。ねぇ、俺と付き合わない?優ちゃんの事気に入ったんだよね」 付き合う? 優ちゃんてまた呼ぶし・・・・。 僕が固まっていると唇に暖かな物を感じた。 チュッ。 えっ? 何? 今、何されたの? 「優ちゃん。可愛いなぁ〜。俺の物になりなよ。優しくするからさねっ?」 俺の物? 僕は心翔だけだよ。 何? 身体が動かない。 僕に触って良いのは心翔だけなのに・・・。

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