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第8話 4人で

「優ちゃん、行くよ」 いきなり心翔が僕の手を掴むと屋上の出口の方に向かって歩き出した。 その後からウサちゃんが付いてきている。 「優ちゃん、またお話ししようね。バイバイ」 西山先輩が叫んで来たけど僕は振り向かなかった。 だって、心翔の手がギュッと力強く僕の腕を握るから・・・・。 痛い・・・。 それだけ心翔、怒ってるんだよね。 「八坂、久遠。俺教室戻るわ」 ウサちゃんは3年生の階でそう言って教室に向かって歩いて行った。 屋上でウサちゃんは授業サボるつもりだったんだろうな。 たまに屋上でサボると冬空くんが言っていた。 あの時、ウサちゃんが来なかったら僕はどうなっていたのだろう? 心翔にあんな・・・。 「ヒクッ・・・」 「優ちゃん?ごめん。腕痛かった?」 心翔が立ち止まり引いていた僕の腕の力を緩めてくれた。 いつもの優しい心翔の顔に戻っていた。 違うんだ。 腕なんか痛くないよ。 心翔以外にあんな事をされて僕は・・・。 それを知ったら心翔に嫌われる。 きっと、嫌われる。 「とにかく、いつもの所まで行くから・・・」 掴んでいた手を離して指を絡める手のつなぎ方に心翔が変えて歩き出した。 指を絡める手のつなぎ方は、いつもドキドキして嬉しくて恥ずかしい気持ちで幸せな時間になる。 でも今は、胸がズキズキと痛む。 優しい言葉を心翔から貰うと胸が締め付けられて涙が止まらない。 やっぱり僕は・・・・。 いつもと同じ『居なくなれければ・・・』呪文かなんかの様に頭の中をグルグルと巡る。

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