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第3話 4人で Side心翔
「優ちゃん。授業始まるぞ・・・・」
俺は屋上のドアを開けながら言ったが途中目に入ってきた光景で言葉にならなかった。
宇佐先輩が誰かを殴ろうとしているのを優ちゃんが泣きながら止めていた。
優ちゃんが泣いている?
それに宇佐先輩は理由も無く殴るような真似はしない。
それは冬空から聞いた話だけど俺も周りの連中から宇佐先輩についてはそう聞かされていた。
優ちゃんに何かあったのか?
それで宇佐先輩が怒って殴りかかっている?
それなら話は分かる。
でも宇佐先輩は確か次に問題起こしたらヤバイんだよな?
「あれ?君確か心翔くんだよね?」
確か以前に優ちゃんを助けてくれた西山心輝。
帰り際に変な事を言われたから名前を覚えていた。
「なんすかこの状況?」
優ちゃんが泣いている事に苛立ちが顔にも声にも出ていたのか宇佐先輩は西山心輝から手を離して優ちゃんにも離すように言ってた。
そんな俺に西山心輝はフッと笑い彼女の事を聞いてきた。
コイツ俺の質問は無視かよ。
西山心輝が俺に気になる子が出来たとかワザワザ言ってくるしなんだコイツ。
でもなんか西山心輝が言った事に優ちゃんの顔が強張っている。
胸の奥がザワザワするもしかして優ちゃんは西山心輝に何か言われたのか?
宇佐先輩も優ちゃんも教室に戻ろうと言ってるみたいだが俺は西山心輝に苛立っていて2人の声はまるで聞こえていなかった。
西山心輝が『優ちゃん』て言ったよな?
マジでキレそうだ。
優ちゃんがまだ泣いている。
俺は優ちゃんの泣き顔を見て少し冷静になった。
早く西山心輝のいるこの場から優ちゃんを連れ出したい。
気がついたら優ちゃんの腕を掴み屋上の出口に向かうと後ろから宇佐先輩も付いてきた。
また西山心輝が『優ちゃん』という。
それに対して俺はイラっとして握っていた優ちゃんの手に力を入れてしまった。
あまりにも西山心輝にイライラしていたので俺は宇佐先輩が途中で教室に戻った事も知らなかった。
俺は優ちゃんが泣いている声に気付いて我に返った。
俺は何やってんだ。
優ちゃんを泣かせるなんて最低だ。
優ちゃんに謝り握っていた腕を離すと優ちゃんに指を絡めて手を握った。
そしていつも2人で過ごす場所へ向かって歩いた。
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