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第1話 夏休み

「優くん、おはよう!!」 登校中に後ろから僕に声をかけてくる。 うわぁ〜。 この声、西山先輩だ。 朝から西山先輩が笑顔で僕に近づいてくる。 隣で心翔が険しい顔をしていた。 「西山先輩、おはようございます」 「うん。おはよう優くん」 僕は心翔と西山先輩に挟まれる感じになってるのは気のせいでしょうか? 「西山心輝。朝からウザい」 心翔の周りに怒りのオーラみたいなのが見えるような? 「ねぇ、心翔くんて俺の名前を呼び捨てだしさ、どうしてタメ口?」 「はぁ?早く教室行ったらどうですか?西山心輝先輩」 あの日以来、西山先輩は僕を見つけると近寄ってきていた。 その度に心翔と言い合いみたいなのをしていた。 「西山先輩だ。カッコいいね」 周りの女の子達がザワザワしている。 容姿は凄くカッコいい。 いつも笑顔で話し方も柔らかな感じだった。 でも本当の西山先輩を皆んなは知らない。 「わかったよ。心翔くんが怖い顔で睨むから先行くね優くん」 西山先輩は心翔から『優ちゃん』と呼ぶなと激怒されてから『優くん』と呼んできていた。 「ずっと俺達に近寄らないで下さいね。西山心輝先輩」 心翔は冷たい目で西山先輩に言った。 心翔怖いよ。 「心翔、おはよう」 「冬空、おはよう」 心翔は、冬空くんの方を向いていた。 ほんの一瞬の出来事だった。 僕の目の前に携帯の画像を見せてきたのだ。 「えっ・・・・」 「今日の昼休みに図書室ね。誰にも秘密。言ったらネットにアップするからね」 そう言うと西山先輩は、ニヤリッと笑って僕達から離れていった。 あの画像・・・。 身体中の血の気が引き震えだした。 なんだか胃の辺りがムカムカしてくる。 どうしよう。 ネットにアップ? 絶対だめ。 心翔に話す? 「優ちゃん?具合悪い?」 どうしたらいい? 「優ちゃん!」 「へっ?あっ・・・大丈夫。大丈夫だよ。僕は平気だから心配しないで心翔」 大丈夫。 きっと大丈夫だから心翔。

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