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第3話 夏休み
中に入ると西山先輩は視聴覚教室の鍵を中から締めている。
人が入って来て話を聞かれてもマズいと思う内容の画像だった。
「西山先輩。その画像どうするんですか?」
クッククと笑う西山先輩の目は笑っていなかった。
本当に、別人だ。
「心翔くんと付き合ってるなら別れて欲しいんだけどね」
「イヤです」
画像ネタで別れろ?
「だよね。これ以外にもあるけど見る?携帯壊してもちゃんとバックアップ取ってるから安心してよ」
「これ以外とは何ですか?」
「はい。どうぞ」
手渡された携帯で画像確認をしていく。
朝見せられた画像。
僕と心翔が物置部屋でキスをしている画像。
次は、ソファで・・・・。
コレってこの前、西山先輩にキスされた後の・・・。
それが10件保存されていた。
最後の1件は、冬空くんとウサちゃんが屋上でキスをしている物だった。
「これ、全校生徒に見てもらっても良いけどね。よく考えて答えてね。あっ、別れるのは夏休み終わってからで良いよ。海行くんでしょ?心翔くんとたくさん思い出作りしなよ」
「なっ・・・」
別れを断れば心翔、冬空くん、ウサちゃんが酷い目にあう。
僕さえ我慢すれば・・・・・。
「わかった。夏休み終わる時に別れる」
「優くんは良い子だね。話は終わりだよ。夏休み終わるまで僕は何もしないから安心してなよ」
安心?
別れたら安心なんか出来るわけないだろ。
心翔・・・・・。
ごめんね。
泣きたい気持ちを必死にこらえた。
夏休みまであと1週間。
西山先輩は次の日から僕等には近寄らなくなった。
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