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第5話 夏休み

僕に合わせてくれて足のつくところまで心翔と2人で来た。 海面は、波があっても首の所までだった。 「心翔、泳げなくてごめん」 砂浜を背にした心翔の前に僕は捕まって立っている。 「ほら、ちゃんと掴まってろよ。気にすんなって、砂浜だと人目があるからこんな事はできないだろ?」 心翔は僕の頬に唇をチュッと寄せてきた。 「まっ・・・・・。心翔、ダメだよ。見られたらどうすんの?」 「平気だって、人気の無い所選んで歩いてきたんだからな」 そう言って今度は首に唇を這わしてくる。 「ちょ・・っ。あっ・・・」 「優ちゃん可愛いな顔真っ赤だよ」 僕は心翔に捕まってた手を離すと腕に力を入れて突き飛ばそうと試したが水の中だと上手く足に力が入らなくて突き飛ばせなかった。 「ほら、ジッとして捕まってろ」 僕は呆気なく心翔に腕を掴まれてしまった。 「すみません。そこのボール取ってもらえますか?」 心翔の後ろから女の子の声が聞こえそして心翔の横にはビーチボールが浮かんでいた。 何処で遊んでいたんだろ? 僕は気になり心翔の横から声がする方を覗き込んだ。 「あっ・・・ボールを・・・・」 そこには女の子が2人いた。 「心翔。ボール取ってあげてよ。僕じゃあ投げてあげれないからさ」 「ハイハイお姫様」 「心翔。僕はお姫様じゃないよ」 心翔は、僕を捕まえてた腕をほどくと横にあるボールを女の子がいる方へ投げた。 「すみません」 女の子2人は頭を下げると砂浜の方へと向かっていった。 その時に女の子2人の会話が聞こえてきた。 「彼女いたじゃない」 「1人に見えたんだものでもカッコよかったよねぇ〜」 「うんうん。彼女可愛かったし諦めだわ」 彼女? ちゃんと僕と言ってたよね。 「お姫様。可愛いよチュッ」 心翔は笑いながら僕の唇に軽く触れるだけのキスをした。

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