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第12話 夏休み

キッチンからリビングが見えていて心翔はリビングのソファに座りテレビ番組をコロコロと変えている。 僕は冷蔵庫からペットボトルに入ったレモンティーを取り出すと氷の入ったグラスに注ぎ残りは冷蔵庫にしまってリビングに向かった。 僕はグラスをテーブルに置くと心翔の隣に座った。 いつもなら話しかけたりしてくる心翔がテレビを見つめたまま黙っている。 テレビは俳句の番組? 「心翔?僕・・・何かしたの?」 僕はお風呂で心翔に何かしたの? 照れて見えてたのは僕の思い違いなの? 「本当に優ちゃんは憶えてないの?」 僕を見ないで心翔はテレビを見つめたまま聞いてきた。 「ごめん・・・僕は憶えて無い。心翔に嫌な事しちゃった?お願い嫌わないで心翔。ヒクッ」 それでも心翔はテレビを見つめたまま動かない。 僕を拒絶している? 「優ちゃん。本当にエッチするのはじめて?」 何? 心翔? 「僕は・・・心翔が初めてだよ」 そう他の誰とも・・・・。 ヅキんっ。 何? 頭痛い。 『言えたからほらっやるよ』 ガタガタと身体が震えだす。 目からは心翔に拒絶されている悲しみの涙では無く恐怖でいっぱいになった涙がこぼれ落ちてきた。 息が・・・。 上手く吸えない。 「ゆづさん!!!」 「うっ・・・ウサ・・・た・・・すけ・・・て・・・」 いつもウサちゃんとクマちゃんが助けてくれた。 ほらっ、また助けに来てくれたよ。 「ゆづさん。ほらっ、ゆっくり息吸いなよ。そう、ゆっくりだ。上手いよ。次はゆっくり息を吐いて」 僕はウサちゃんに身体を支えられて言われた通りにゆっくりと息を吸っていくと苦しくは無くなって身体の震えも止まった。 心翔も冬空くんもその場で僕とウサちゃんを見ている。 なんだろフワフワする。 僕はウサちゃんに支えられて何をしてるの? 少しずつ落ち着きを取り戻していくとさっきの心翔と会話を思い出していた。

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