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第13話 夏休み
「ウサちゃん?僕はどうしたの?」
意識がハッキリするとウサちゃんが僕の身体を支えて背中を撫でている。
「えっとですね。ゆづさんが気分悪いって倒れそうだったからですよ。忘れたんすか?」
「心翔と話してたよ。僕は気分悪くなったんだ」
心翔が何か言いたそうに僕を見つめている。
ドサッ。
リビングの入り口に立っていた冬空くんが買い物袋を床に落として泣きそうな顔をしていた。
「冬空くんが泣きそうだよ。ウサちゃん何かしたの?」
「ゆづくん・・・?」
冬空くんが震える声で僕の名前を呼ぶ。
「冬空くんがウサちゃんに苛められたら僕がウサちゃんを苛めるからね」
「ゆづさん。勘弁してくださいよ」
なんか変な空気になっている。
「冬空。晩ご飯の用意しようか?」
買い物袋を拾い上げると冬空くんの頬にチュッとキスをして頭を優しく撫でていた。
あっ、いつもと逆が見れた。
なんかいいなぁ〜。
胸がポカポカ温かくなるね。
僕の身体もフワッと何か暖かい物に包まれた。
「優ちゃん。ごめん変な事言った」
僕は後ろから心翔に抱きしめられていた。
暖かい心翔の腕の中、嫌われてなかったんだ。
「大丈夫だよ。本当に心翔が初めてなんだからね」
「うん」
心翔はそれ以上何も言わなかった。
ただいつもよりも少しだけ強く僕を抱きしめていた。
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