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第11話 夏休み Side心翔

優ちゃんと下に降りてきたは良いが何故か『ご主人様』が引っかかって仕方がない。 リビングのソファに座りテレビを付けたもののそれ程観たい番組がある訳でもなくコロコロと番組を変えている。 クソッ。 考えない。 気にしない。 あぁ〜!!!!! なんだよ。 気がついたら隣に優ちゃんが座っている。 こんなモヤモヤしてるのに、いつもの様に優ちゃんに話しかけれない。 何があってもどんな優ちゃんでも好きだったはずだよな。 なら優ちゃんの顔見ていつもみたいに話せばいいじゃないかよ。 話しかけてきたのは優ちゃんだった。 「心翔?僕・・・何かしたの?」 優ちゃんは何もしてない。 何も? 「本当に優ちゃんは憶えてないの?」 口から勝手に言葉が出ていた。 こんな冷たい言い方したら優ちゃんが傷つくのは分かっているけど止められない。 モヤモヤしてる限り無理だ。 それに俺はこの状態で優ちゃんの顔が見れないし触れる事も出来ない。 「ごめん・・・僕は憶えて無い。心翔に嫌な事しちゃった?お願い嫌わないで心翔。ヒクッ」 優ちゃんが泣いている。 嫌ってなんかない。 けど聞きたい事がある。 それを言ったら優ちゃんがもっと傷つくのは分かる。 「優ちゃん。本当にエッチするのはじめて?」 「僕は・・・心翔が初めてだよ」 本当に俺が初めてでいいのか? 俺はゆっくりと優ちゃんの方を見た。 優ちゃんの顔が真っ青になりガタガタと身体を震わせ息が吸えないのか口をパクパクとして目からは涙がポロポロとこぼれ落ちている。 俺が慌て優ちゃんを引き寄せる前に宇佐先輩が優ちゃんを抱き寄せていた。 「ゆづさん!!!」 「うっ・・・ウサ・・・た・・・すけ・・・て・・・」 俺じゃなくて宇佐先輩に助けを求めてる。 「ゆづさん。ほらっ、ゆっくり息吸いなよ。そう、ゆっくりだ。上手いよ。次はゆっくり息を吐いて」 優ちゃんは宇佐先輩に身体を支えられて言われた通りにゆっくりと息を吸っている。 なんだよこれ・・・・・。 そう思いながら俺は、ただその光景を見ていた。

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