190 / 903
第2話 夏休み 夜空
「ゆづくん?嫌いな物あった?」
「あっ、えっと大丈夫だよ。全部美味しいよ。食べ終わったら僕が後片付けするよ」
「うん。ならお願いするよ」
僕は手が止まっていたから他の3人より少しだけ食べるのが遅くなった。
「ごちそうさまでした。冬空と宇佐先輩、本当に美味しかったです」
「お前らの好きな食べ物言ってくれたら作るからな。作れる範囲でだけどよ」
「はい」
心翔は席を立つと冬空くんとウサちゃんの分の食べた後の食器を持ってキッチンの方へ向かった。
「ゆづくん。心翔となんかあった?」
小声で冬空くんが聞いてきた。
「えっと、うん。でもさっき謝ってくれたけど仲直り出来たのか分からない。僕を寄せ付けない感じがするんだ」
「だよな。あんな心翔あんまり見ないからさ。早く仲直り出来たら良いね」
「うん。ありがとう」
僕も食べ終わると食器を持ってキッチンへ向かったら心翔が他の人の食器も洗っている所だった。
「心翔。僕も洗うよ」
「優ちゃんは、座ってなよ。顔色悪いしこの後歩くんだから身体休めとけよ」
「でも・・・」
心翔はチラッと僕を見るとフッと笑って濡れたままの手で僕の両方の頬を摘んだ。
「まにゃと、にゃにぃ」
「可愛い。優ちゃん」
あっ・・・・。
いつもの心翔だ。
「はにゃしてよ。まにゃと」
「ちゃんと身体休めるなら離してやる」
僕はコクコクと頷いた。
パッと手を離すと僕の額にチュッと軽く唇を当ててくれた。
これだけで僕は顔が熱くなる。
心翔が僕に触れてくれるだけで嬉しい。
笑いかけてくれるだけで頭の中は心翔だけになる。
「ほらっ、食器渡して洗うから優ちゃん」
「うん。お願い」
「明日の朝食は一緒に作ろうな」
「うん」
心翔は、食器を僕から取るとカチャカチャと洗い出した。
傍に居たいけどさっき身体休めると約束したからリビングへと僕は向かった。
ともだちにシェアしよう!