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第4話 夏休み 夜空
「お待たせって冬空すげぇ〜顔赤いぞ」
「あっ、暑くてさ。それより早く夜空見に行こう」
「番組も終わったし行くか!海」
「ウサちゃん。夜の海には入らないから気合い入れなくて良いよ」
ウサちゃんは、海にすごく反応する。
犬がお散歩行くわよって言われて喜ぶのと同じくらいのテンション。
「花火とか持ってきたら良かったね」
「そうだな優ちゃん」
僕は心翔と指を絡めて手を繋いで歩いていた。
住宅があるけど夜だから良いだろって心翔が言ってくれた。
普段手を繋いで歩く事が出来ないから僕はすごく嬉しくなって心もポワポワと暖かくなった。
僕はきっとさっきのウサちゃんくらいテンションが上がってるかもしれない。
手を繋いでるだけなのに、僕の心臓がうるさく鳴る。
どうか心翔には、聞こえませんようにと祈りながら歩いていた。
「うお〜ッ。すっげぇ〜星が落ちてきそうだな!!!」
「龍、暗いから走ると危ないぞ」
「へっ」
ズサッ。
ウサちゃんが砂浜に足を取られて大転倒しちゃったよ。
「イッてぇ〜」
「ほらな、危ないから手繋いで大人しくしてな」
冬空くんが転んだウサちゃんの隣にかがみ込んで頭を撫でると身体を起こして座りこんだウサちゃんの手を握った。
暗いからよく見えないけどきっとウサちゃんの顔真っ赤だよね。
冬空くんが本当に大人に見えるよ。
そんな2人を微笑んで見ていたらグッと心翔に引き寄せられて腕の中に包み込まれた。
「優ちゃん。好きだよ」
「心翔・・・。僕も大好き」
僕は心翔の背中に腕を回してギュッとシャツを握りしめた。
このまま時間が止まれば良いのに・・・・・・。
ずっと心翔の傍に居たい。
僕は・・・。
その先は今は考えたくなかった。
今はただこうして心翔の腕の中で心翔を感じていたかった。
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