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第1話 夏休み 夜空 Side心翔

「いただきまぁ〜す」 優ちゃんが楽しそうに笑っている。 今日の夕食のメニューには優ちゃんが大好きなボロネーゼが入っていた。 優ちゃんには内緒で冬空にお願いしておいてよかった。 俺が優ちゃんを喜ばせ元気付けたいと相談したら快く引き受けてくれたんだ。 それに冬空も宇佐先輩も優ちゃんの様子がおかしいとは思っていたみたいだ。 最近の優ちゃんは前みたいに笑わなくなっていたから本当に2人には感謝しないといけないな。 ボロネーゼがお店並みに美味しいのにもビックリでこれは、お店以上に美味しいかもしれない。 「僕も作ってみたいな」 優ちゃん・・・・・。 確か包丁とか刃物系は怖いんだよな? 「ゆづくん。明日、朝ごはん一緒に作る?」 「えっ、いいの?僕でも作れる?」 冬空が傍にいれば安心だな。 それに凄く嬉しそうにしているから俺は傍にいて様子でも見ておこう。 「心翔も一緒に作ろうよ」 優ちゃんが可愛らしくお願いしてくるし一緒ってなんか照れるかもしれない。 可愛らしくは俺が勝手に思っただけだ。 「そうだな」 ヤバイ。 今すぐに抱きしめい。 照れて言葉数が少なくなる。 反則だ優ちゃん。 「そうだ。心翔のお母さんが言ってた夜空の星とかこの後見に行かないか?」 「いいな。浜辺から見ると凄く綺麗らしいんだよ。場所教えて貰ったから皆んなで行こう」 冬空いいタイミングでよく話題に出してくれたありがとう。 来るときに浜辺からの見る夜空も凄く良いと母さんが教えてくれた場所がある。 地元の人達の間でも有名な場所。 優ちゃんと見れる夜空なんてなんか嬉しくて顔がニヤけてくる。 優ちゃん? 具合悪いのかな食べるペースがいつもより遅い。 優ちゃんが後片付けするって言ってたけど俺が優ちゃんの分もお皿を洗って身体を休ませよう。 「ごちそうさまでした。冬空と宇佐先輩、本当に美味しかったです」 「お前らの好きな食べ物言ってくれたら作るからな。作れる範囲でだけどよ」 「はい」 俺はまだ食べてる優ちゃん以外の食器を持ってキッチンへと向かった。 優ちゃん少しだけ顔色悪かったよな。 昼間、ちょっと無理させたしあの時息が出来なかったみたいだから優ちゃんの体調が心配だな。 俺が優ちゃんの事を考えながらカチャカチャお皿を洗っていると横から優ちゃんが食器を持って来ていた。 「心翔。僕も洗うよ」 「優ちゃんは、座ってなよ。顔色悪いしこの後歩くんだから身体休めとけよ」 「でも・・・」 俺は優ちゃんに視線を向けた。 そこには、顔色が悪い優ちゃんが申し訳なさそうに立っている。 優ちゃんには悪いが可愛いと思い微笑んでしまった。 俺は濡れたままの両手で優ちゃんの頬を軽くつまんだ。 「まにゃと、にゃにぃ」 うまく喋れない優ちゃん可愛すぎる。 顔がニヤける。 「可愛い。優ちゃん」 「はにゃしてよ。まにゃと」 「ちゃんと身体休めるなら離してやる」 優ちゃんはコクコクと頷いたのを合図にパッと手を離すと優ちゃんの額にチュッと軽く唇を当てた。 優ちゃん顔が真っ赤だ。 「ほらっ、食器渡して洗うから優ちゃん」 「うん。お願い」 「明日の朝食は一緒に作ろうな」 「うん」 優ちゃんから食器を受け取ると再びカチャカチャと洗い出す。 優ちゃん可愛すぎる。 俺の心臓バクバクいってうるさい。

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