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第1話 夏休み 初めて Side宇佐
冬空はゆづさんと久遠の部屋から出て何も話さない。
やっぱり怒ってるよな?
イヤ呆れてるのか?
先に歩く冬空の後ろをついて歩く俺は少しだけ不安になった。
少し?
イヤ・・・かなり不安だ。
こんな歳上嫌だろうな・・・・・。
部屋に先に入る冬空、俺はドアを締めたけどそのままドアの方に向いていた。
冬空に謝って許してもらわないと顔が見れない。
「冬空・・・ごめっ・・・・」
不意に暖かい温もりに包まれた。
俺は後ろから冬空に抱きしめられていた。
「謝んなよ龍」
耳元で囁く冬空。
「冬空・・・」
「俺は待てるから龍」
クソッ。
彼奴らにまで心配させて痛いのが怖いからってなんだ俺・・・・・。
かっこ悪くないか?
「冬空・・・抱けよ」
「龍・・・だから・・・むっ・・・」
俺は顔だけ冬空に向け冬空の頭を押さえつけるようにして無理やりキスをした。
ゆっくりと唇を離すと冬空の目をまっすぐ見て言った。
「冬空・・・抱けよ」
「抱けよって、俺なんか襲えよって言われてるみたいでイヤなんだよ。無理させてるみたいで・・・龍」
「ふざけんな!!!無理してないって言ってんだろが!!!!!はなっせ!!!!!」
襲えよってなんだよ。
俺がどんな気持ちで決心したのか・・・・・。
違う。
こんなんじゃダメなんだ。
お互いに求めるから言葉にしなくてもいいんだ。
「離せ冬空。寝るから・・・」
「うん」
冬空は俺から離れてダブルベッドへと向かい寝転んだ。
俺もその横にそっと潜り込んで冬空を背にして眠りについた。
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