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第8話 夏休み 2日目
「優ちゃんもチュウしたい?」
心翔は意地悪く耳元で囁くとチュッと耳に唇を当ててくる。
「ひゃあっ。ちょっと心翔・・・・・ダメッ」
「うん。今はしないよ。2人になったらね」
心翔の言葉1つ1つで僕はドキドキしてしまう。
そして幸せを感じていた時に思い出してしまった。
西山先輩との約束。
僕は2学期になったら心翔の傍にいれないんだ。
お揃いで買ったイヤホンジャックも付けることが出来なくなるんだ。
別れたら心翔はイヤホンジャックを捨ててしまうだろうか?
僕の事は忘れて違う誰を好きになって付き合うのだろうか?
女の子と付き合ったら結婚とかして子供ができて幸せな家庭を築いてその隣には奥さんが居るんだ。
僕じゃない誰かと一緒に居るんだ。
苦しいよ。
こんなに心翔が大好きなのに離れなきゃいけない。
涙が溢れてきそうになる。
「心翔・・・・・。僕、気分悪くなちゃったから部屋で休むよ」
身体が震えてきた。
どうしよう。
「大丈夫か?部屋に行こう」
「1人で大丈夫。心翔はまだお肉食べてよ」
上手く喋れているだろうか?
「結構食べたからもういいよ」
「1人にして欲しいんだよ。心翔が居ると気が散るから・・・」
僕はこんな事が言いたかったんじゃない。
「わかった。何かあったら呼べよ」
心翔は僕から離れて冬空くんがいる所へ行ってしまった。
心翔の冷たい声。
僕は心翔を怒らせてしまった。
ごめんね心翔。
でも今は1人にして欲しかったんだ。
だって、苦しくて苦しくて涙が溢れてくるから・・・・・。
僕は1人で部屋に戻りベッドの中に潜り込んで声を殺して泣いた。
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