251 / 903

第4話 暗闇

「兄さん。まだ仕事あんだろ?後は俺が変わるから早く行けよ」 「心輝は可愛くなくなったよね。今はゆづが居るから許してるけどあまり舐めた口聞くんじゃないぞ」 ご主人様は心輝を壁まで追いやると片手で首を締め付けている。 「グウッ」 「今度、気が向いたら可愛がってやるよ心輝」 「ゲホッゲホッ」 心輝は苦しそうに顔を歪めて咳き込んでいた。 心輝大丈夫かな? 首を絞められたら苦しいよ。 「ゆづは、良い子にしてるんだよ」 ご主人様は、俺からバイブを抜いて俺自身の拘束を解くと部屋から出て行ってしまった。 心輝と2人はイヤだ。 手足を拘束されてバイブをぶち込まれてイケない様に縛られている方が気分的に良い。 「ケホッ。ゆづくんはもう外に出たくないの?」 「外?行かないよ。ご主人様が怒るでしょ?」 外に出たいと言えばご主人様から何をされるか分からない。 ナイフの傷だけでも嫌なのに・・・・・。 「さて、風呂入れてやるから歩けるか?」 「お風呂・・・」 本当は歩くのが辛いからあまりお風呂には入りたくない。 今日は特に身体中を切り付けられているから・・・。 「分かった。俺が連れて行くから嫌でも我慢しろ。いいな」 「えっ?」 「えっ。じゃないから我慢しろよ」 心輝はクシャクシャと自分の頭を乱暴に掻くと俺の寝ている床に近づいてきた。 嫌だ。 心輝だけには触られたくない。 身体が強張りガタガタと震える逃げたいけど手足には力が入らない。 そんな俺を見ながら心輝は容赦なく腕を掴んできて寝ている俺を起こそうとする。 座るのは良いが立ち上がるには足に力が入らない為、立ち上がってもスグに座り込んでしまっていた。 「はぁ〜。ゆづくんがご飯食べないから立てなくなるんだよ」 「ご飯いらない」 ご飯食べないとどうなるかくらい分かる。 昨日までご主人様に奉仕した後でも1人で立ち上がれてたのに今日はもう立てなくなっている。 外に出たいと何度願っただろう。 俺が外に出れるとしたらきっと目が開かない状態で2度と外のキラキラした光が見れない。 キラキラした暖かい光がもう一度見たかった。 あの暖かな温もりに包まれたかった。

ともだちにシェアしよう!