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第10話 暗闇
嫌だ。
気持ち悪い。
瞼をギュッと閉じてベッドにうずくまり身体の震えが止まるのをジッと待っていた。
「心輝。いつまで動かない気だ?」
ドスッ。
鈍い音が耳に届いてくる。
「ぐッ・・・」
心輝が苦しそうに唸っているのが聞こえてくる。
「心輝・・・」
頬に涙が伝う。
心輝が苦しそうにしていると俺は凄く悲しくて胸が苦しくなり自然と目から涙が溢れ出していた。
「ゆづも俺以外に心惹かれたら許さないからな」
「うあぁぁぁ!!!!!!」
背中に激痛が走った。
蹴られたんじゃなく殴られた訳でもない。
ナイフでいつもより少しだけ深く皮膚を切られた。
「冬樹さん。あまり乱暴な事は良くありませんよ。私は部屋に戻ります」
「お見苦しい所をお見せてしまいすみません。シャワールームにご案内してからお部屋を用意しておきますので高間さん」
ご主人様を怒らせてしまった。
今までは浅い傷が多かったのにさっきの傷は血がたくさん流れているのが見なくても分かる。
傷口がズキンズキンと熱をもち脈打つ様に痛みが襲いかかってきた。
けれど心輝が心配で俺はゆっくりと身体を起こすとご主人様と高間さんは部屋には居なくなっていて入り口の辺りに心輝がうつ伏せに倒れていた。
「あっ・・・し・・心輝・・・・」
動かない心輝。
苦しくて悲しくて嫌いな心輝。
けどきっと俺は・・・・・。
心輝が傍に居てくれないと・・・・・。
本当に壊れてしまう。
光を失くした気がした。
真っ暗でもう2度と光を見れない。
暗闇の中で生きていく・・・。
俺は消えてなくなる。
心翔ごめんね。
僕は心翔にもう逢えない。
心翔の優しさや温もりに触れる事が出来なくなる。
心翔大好きだよ。
バイバイ。
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