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第3話 暗闇 Side心輝
ゆづくんを初めて見たのは中学2の冬だったと思う。
憧れの人とゆづくんが仲良く話してるのを見て腹の底から黒い何かが湧き上がってきた。
ゆづくんの容姿は兄さんが好きそうな感じだったから憧れの人から切り離すために兄さんにゆづくんの話をしたら興味を持った。
当時兄さんは25歳。
兄さんの恋愛対象は男女どちらでも大丈夫だと知っていたからゆづくんが兄さんと付き合えば憧れの人に近づかないだろうと考えた。
それが俺の間違いだった。
父親が経営するホテルは全国で20件あった。
そこの1つにゆづくんを呼び出した。
顔見知りでもないのにゆづくんは俺の話を信じて付いてきたんだ。
「脅されてるって、こんなホテルに呼び出されたのか?」
「あっ・・・うん。ここ1002号室」
その部屋には兄さんがいると思っていたら3人の男が部屋の中にいた。
「あの冬樹さんは?」
「冬樹さんから聞いてるよ。君達だろ?相手してくれるの?」
「えっ?相手って?」
相手ってなんだよ。
俺は兄さんから何も聞かされていなかった。
この3人の男に犯されるなんて思いもよらなかった。
兄さんに裏切られた気持ちで一杯で本当に馬鹿な事をしたと後悔したが手遅れだった。
「はなっせっ!!!」
ゆづくんは1人の男に羽交い締めにされてもう1人の男が口の中に何かを入れようとしていた。
「気になる?あれは媚薬だよ。で、君もハイ飲んでね」
俺の目の前に差し出された媚薬。
男の顔を見ると笑ってはいたが目が笑っていなかった。
その目の怖さに俺は逆らえずに震える手で媚薬を受け取ると一気に飲み込んだ。
「ゲホッゲホッ」
「そんなに慌てなくても大丈夫だよ。あと数分で効いてくるかな?」
男が俺をベッドへと倒し上に覆い被さってきた。
怖い。
けど隣のベッドを見ると2人掛かりでゆづくんの着ている服を脱がしていた。
抵抗をしているが動きが少しだけおかしかった。
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