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第10話 暗闇 Side心輝
「心輝・・・好き・・・」
「えっ・・・」
ゆづくんは振り返り俺を真っ直ぐ見つめて言い放った。
今の聞き間違え?
嫌いって言ったんじゃなくて好き?
「心輝・・・俺は心輝が好き」
間違いない好きだと言ってる。
俺は動きを止めてゆづくんから俺自身を抜こうと腰を引いていくとゆづくんに腰を掴まれて止められた。
「抜かないで・・・。心輝は俺が嫌い?」
考えた事がなかった。
俺はゆづくんには罪悪感しか無かったからだ。
今なら言えるかもしれない。
俺がゆづくんをこんな目に遭わせてる張本人でゆづくんにはちゃんと付き合ってる人がいるって事を今なら・・・。
「俺はゆづくんを好きじゃない。好きとか思ったりしても駄目なんだ。俺が原因で兄さんに酷い事されてるんだぞ。俺がゆづくんを邪魔だと思って兄さんを利用したんだぞ。それにゆづくんには俺より大切な人がいるんだ」
「・・・・・」
ゆづくんは何も言わずに止めていた手を腰から離した。
「抜くから・・・」
「それでも・・・俺は心輝が好きだ」
俺はゆづくんから俺自身を抜くと中にある精液を無言で掻き出して洗い流している間ゆづくんはじっとしていた。
洗い終わるとバスタオルをゆづくんの頭から被せて俺はシャワールームから出て行った。
ゆづくんが俺を好き?
この状況で自分に優しくする相手を好きになったんだろうか?
俺には好きな相手がいる。
ゆづくんにも久遠がいるんだ。
ゆづくんとこんな形で出会わなければ好きになっていたんだろうか?
俺はベッドに腰を下ろして色々と考えていた。
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