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第12話 暗闇 Side心輝

あれから1週間が経ち俺は制服を着て校門を通って中に入っていった。 外には兄さんの見張りが俺の後をつけていて自由に動けそうなのが学校の中だけだった。 来る途中で久遠に会わないかと思っていたが俺がいつもより早く学校に来ていたから会えないでいた。 「西山心輝。話があんだけど?」 下足場で靴を履き替えている時に背後から話しかけられた。 「うん。僕も話したかったんだよね。心翔くん」 いつもの癖で周りから良い人に見えるように作り笑いをして学校での西山心輝を演じる。 そんな自分に吐き気がしてくる。 「2人で話せそうな場所に行こうよ。あっ、あの部屋がいいよね。旧校舎だったかな?」 「西山心輝。いい加減にしろよ」 「朝から怖いなぁ〜。心翔くんそれより早く行こうよ」 俺はあの部屋に向かって歩き出した。 久遠の怒りが伝わってくる。 俺が冬樹の弟だとバレているからだと思う。 その情報も俺がバレるように知り合いに話して貰っていた。 流石にそれだけでゆづくんの居場所までは掴めなかったのだと分かる。 部屋に入ると久遠は扉を閉めた。 久遠が俺の話をどこまで信じてゆづくんを助けるのに俺を必要としてくれるかココからは演じてる西山心輝ではダメだ。 「久遠は俺をどこまで信じれる?」 「はっ?意味が分からないんだけど?」 俺は久遠に頭を下げた。 「何してんだよ西山心輝」 「頼むからゆづくんを助け出すのに今から話す事・・・・俺を信じて欲しい」 俺は肩を掴まれ後ろのソファに突き倒された。 「何を言ってんだよ?信用できるかよ。西山冬樹の弟を信じろと?笑わせるな!!!」 襟首を持たれ頬に久遠の拳が食い込んだ。 口の中が切れて口角から血が流れているが痛くも無い。 学校に来る1週間の間にゆづくんを部屋に入れた事がバレて俺は兄さんから暴行を受けていた。 それも見えない場所を狙って・・・・暴行が終われば男達を相手にする日々だった。 俺は制服の上だけを脱いで久遠に見せた。 「西山心輝。何を・・・・・その傷・・・・・」 「実の兄さんからのだ。俺がこの傷ならゆづくんは・・・・。頼むから信じて欲しい」 久遠はゆっくりと襟から手を離すと俺を真っ直ぐに見ていた。 「かなりキツイ話になるけど大丈夫か?」 「優ちゃんは無事なんだよな?」 「生きてはいる」 「生きてはいるって何だよ」 生きてはいるけど・・・・・。 目の前で俺が殴られているのを見てゆづくんはボロボロになっていた。 俺がゆづくんを部屋に入れなければ・・・・・。 「だから、早くあそこから出したいんだよ。今すぐにでもな。兄さんは昨日から海外だから手薄になってる今しか無いんだよ。」 俺は立ち上がり久遠の肩を強く掴んだ。 早くあそこから助けたい。 次に兄さんが帰国する前にあそこから・・・・・。 でもきっとバレたら俺は・・・。

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