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第2話 救出
スッと横から手が伸びてきてクルクル回していたスプーンの動きを止められてしまった。
「熱いの苦手だったか?それとも食べたく無いのか?」
「両方・・・・・」
隣で深い溜息が聞こえてくる。
きっと俺に呆れてるんだろうな・・・・・。
「スプーンを貸せ」
心輝は強い口調で言い俺からスプーンとトレーを奪い取った。
怒らせた。
俺は心輝の顔を見ると怒ってはいなくてスプーンに乗せた粥をフーッと冷ましていた。
「ほらっ、食え」
口元にスプーンを差し出してくる。
えっ?
「こうでもしないと食わないだろうがゆづくん」
「じ・・・自分で食べれるよ」
「はぁ?食わないから食べさすんだろうがイイから早く口開けろ」
この勢いだと頭掴まれて無理矢理にでも口の中に入れられてしまいそうだったから俺は心輝の言う通りに口を開けた。
口の中に粥を入れられたが嫌ではなかった。
「あっ・・・美味しい」
いつも1人でいたから隣に心輝がいて食べさせて貰っている環境がそうさせてるのかちゃんと味がする。
「当たり前だろ。誰が作ってると思ってんだよ。ずっと全部残しやがって今日は食べれる所まで食べてもらうからな」
「はい」
ふわっと笑って俺の頭をガシガシと撫でる心輝が眩しくてキラキラしているように見えた。
俺のお日様みたいな心輝。
心輝が傍にいてくれたからどんな仕打ちにも耐えれていたのかな?
どうして最初はあんなに嫌いだったのだろう?
あんまり深く考えないようにしよう。
この時間だけ大切にしよう。
またあの恐怖がくるから・・・・・。
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