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第7話 救出
俺は地下の駐車場に停めてあるワゴン車に乗せられた。
運転手は少しだけ怖そうな男の人で助手席には綺麗な顔立ちをした男の人。
宇佐先輩という人と同じくらいの歳の男の人。
あっ、この同じくらいの歳の人は心輝にナイフを突き付けていた男の人。
後部座席の奥左には心輝、真ん中に俺、右側に心翔という人の順で乗り込んだ。
車が暫く走り俺はさっきよりも落ち着いて考えれるようになってきた。
横に座っている心輝を見ると頬から血が出ていた。
「心輝・・・顔の怪我大丈夫?」
「大丈夫だ。ゆづくんは?」
「俺は心輝が居るから大丈夫だよ。今日ね。お粥全部食べれたよ」
「そっか、頑張ったな」
心輝の言葉数が少ないし俺に触らないようにしているように思えた。
「優・・・・・ゆづくん。これから病院に行くから心輝も一緒にそのまま入院して欲しい」
「病院?俺は大丈夫だよ。部屋に帰らないと・・・」
見つかったら何をされるか分からない。
そう言いたかったけど怖くなり口に出せなかった。
「部屋に戻る必要はないよ。これからはゆづくんの家族と過ごせばいいよ」
助手席に座っていた綺麗な男の人が優しい口調で言ってくれた。
俺には家族がいるの?
家族と暮らせば心輝は?
「心輝は?心輝はどうなるの?」
「心輝くんの住む場所も考えてるから安心して今は少しでも身体を元気にしないと駄目だからね」
「はい」
この人達は怖い人じゃないと思った。
何故そう思ったか分からないけどご主人様が連れてくる男達と雰囲気が全く違っていたからだ。
毛布も暖かくて握られた手?
あれさっきから心翔って人が俺の手を握ってるんだけど何故かな?
俺が心翔って人の方を見て手に少しだけ力を入れて握ってみると、こっちを見てフワッと微笑んだ。
よく見ると凄く凄くカッコ良くてなんだろう心輝とは違うもっと切ないような苦しいような感じに胸がなる。
どうしたんだろ俺。
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