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第12話 救出

「お待たせって、こらっ心翔。何してるんだ?混乱させる様な事をするなと遥に散々言われてだろ?」 点滴の用意をして聖先生が戻ってきた。 「無理」 「我慢を覚えようか?心翔くん」 俺は慌て心翔って人の胸を押して離れようとしたけど力を入れられて阻止されてしまった。 どうして離してくれないの? 「あの・・・離して下さい」 「嫌だ」 えっと・・・・・俺どうしたらいいんだろう? 戸惑っていると不意に俺を抱きしめていた腕の力が緩んだ。 「優ちゃん、泣き止んだ?」 「あっ・・・うん」 心翔って人は俺が泣いてるのを気にしてくれてたんだ。 優しい人だよな。 それで俺はちょっとだけ近くで心翔って人の顔が見たくて上を向いたら俺を見て優しく微笑んでいた。 ドクンッと心臓が跳ねた。 うわぁ〜。 凄くカッコイイなぁ〜。 俺が心翔って人に見とれていると優しく頭を撫でてゆっくりと立ち上がった。 「じゃあ俺帰るわ。またな優ちゃん」 「あっ・・うん。またね」 心翔って人の笑顔につられて俺も笑っていた。 それに優ちゃんと呼ばれたらなんだかくすぐったい。 「明日、ちゃんと学校は行けよ」 「わかってるよ。優ちゃんを頼むよ。聖兄さん」 聖兄さん? 「ビックリしたよね。心翔は僕の弟なんだよ。似てないのは僕の父親の再婚相手の連れ子なんだ」 聖先生は点滴の針を刺しながら教えてくれた。 そっか、家族なんだ。 俺の家族は居るのかな? さっき八坂先生は家族なのかな? 緊急手術が入ったから部屋から出て行っちゃったけどもしかしたらお父さんなのかな? 「聖先生、俺に家族いますか?」 「素敵なご家族がいるよ。会ってみたいかな?」 「はい」 会ってみたい。 俺は周りの人達を見てて思ったんだ。 周りの人達は、俺を知ってるが俺は知らない。 これって俺が皆んなを忘れてるんだよな? 信じたくなくて考えない様にしてたけど記憶喪失ってヤツかな? 家族に捨てられたんじゃないのなら会って話がしたい。

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