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第1話 救出 side心翔
あの海に行った帰りに優ちゃんの家の前で優ちゃんと別れたあの日から俺は・・・。
「心翔、花火大会楽しみにしてるからね」
「動物園もだろ?」
「うん。それじゃあ、またメールするからね」
「すぐに会いに来るからな、またな」
そう言って唇に触れるだけのキスをして笑顔でまた会う約束をして優ちゃんと別れたあの日に優ちゃんは姿を消した。
優ちゃん、何処にいるんだ。
伯父さんは警察に捜索願を出したけどまだ手掛かりがなくて家出じゃないかとか言われてるみたいだ。
笑わせるな、家出じゃねよ。
そんなある日、宇佐先輩から西山冬樹が帰国している話を聞いたと教えてくれた。
考えられるのは西山冬樹に拉致られている事。
前によく拉致られていた部屋とか倉庫には優ちゃんの姿も西山冬樹の姿も無いと宇佐先輩が教えてくれた。
証拠も無いから西山冬樹に直接会って話をするわけにもいかない。
夏休みは家にいるのは寝る時だけで殆どは街中を優ちゃん捜して駆け回っていた。
けれどやっぱり手掛かりがなくて虚しく日々が過ぎて行くばかりだった。
俺の手元には優ちゃんとお揃いで買ったイヤホンジャックがある。
譲が公園で優ちゃんを見て声掛けようとしたらスーツを着た男2人に連れて行かれたと話してくれた。
普通に話をしてたらしいから知り合いだと思い気にも留めなくて優ちゃんの居た場所にイヤホンジャックが落ちていたらしい。
優ちゃんのかもしれないと拾ってくれていた。
譲も暇があれば俺と優ちゃんを捜してくれている。
そして俺は優ちゃんの今のご両親と譲に俺が優ちゃんと付き合ってると話をした。
本当は優ちゃんと一緒に報告をしたかったがこの状況だったし、ご両親や譲が困惑するのはわかってる。
でも俺は優ちゃんが居なくなってそれを隠しておける程余裕なんてなかった。
優ちゃんのご両親も最初は考え込んでいたが優ちゃんが幸せになるならと理解をしてくれた。
譲は、隠していた事に怒ったが後は泣きながら優ちゃんを早く見つけ出そうと言ってくれた。
譲、ありがとう。
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