284 / 903
第2話 救出 side心翔
新学期の朝を迎え重たい足取りで学校へと向かった。
いつもなら優ちゃんが隣にいて笑っているのに俺の隣には優ちゃんはいない。
やっぱり西山心輝に会って確かめたいが西山心輝も夏休みになってから連絡が取れなくなっていた。
新学期だけど西山心輝は来るのだろうか?
そんな事を考えながら歩いていると西山心輝の姿が見えた。
俺は急いで西山心輝に追いつくように走って、ようやく下足場で西山心輝に近づけた。
「西山心輝。話があんだけど?」
西山心輝は靴を履き替えているとこだった。
「うん。僕も話したかったんだよね。心翔くん」
西山心輝の作り笑いには吐き気がする。
「2人で話せそうな場所に行こうよ。あっ、あの部屋がいいよね。旧校舎だったかな?」
「西山心輝。いい加減にしろよ」
「朝から怖いなぁ〜。心翔くんそれより早く行こうよ」
西山心輝が俺の少し前を歩いて物置部屋に向かった。
今この時にでも話をしたいが周りには他の生徒がいるから俺は怒りを抑えながら西山心輝の後を歩いていた。
物置部屋は優ちゃんとの幸せな日々が詰まった部屋だ。
西山心輝が入るのも嫌だがココなら確実に他の生徒は来ない。
コイツを殴っても誰に見られない。
部屋に入ると俺は扉を閉めた。
「久遠は俺をどこまで信じれる?」
「はっ?意味が分からないんだけど?」
何を信じれるだ?
俺は怒りに任せて殴りたかったがグッと我慢した。
すると西山心輝は俺に頭を下げた。
「何してんだよ西山心輝」
「頼むからゆづくんを助け出すのに今から話す事・・・・俺を信じて欲しい」
やっぱり優ちゃんはコイツら兄弟に拉致られてたのかよ。
気が付いたら俺は西山心輝の肩を掴みソファに思いっきり突き飛ばしていた。
「何を言ってんだよ?信用できるかよ。西山冬樹の弟を信じろと?笑わせるな!!!」
俺は西山心輝の襟首を掴むと思いっきり西山心輝の頬に拳を叩き込んでいた。
もっと殴りたいがこんな事をしても優ちゃんを解放するとは思わない。
今殴った事で解放してもらえなくなるかもしれない。
すると西山心輝は制服の上を脱ぎだした。
何してんだよ。
「西山心輝。何を・・・・・その傷・・・・・」
西山心輝の身体には打撲や切り傷などたくさんあり、見るからに暴行を受けていた後だった。
「実の兄さんからのだ。俺がこの傷ならゆづくんは・・・・。頼むから信じて欲しい」
その傷を見て冷静になり殴った事を後悔して西山心輝から手を離した。
「かなりキツイ話になるけど大丈夫か?」
「優ちゃんは無事なんだよな?」
「生きてはいる」
「生きてはいるって何だよ」
生きてるって、西山心輝の傷も酷いが優ちゃんはもっと酷い事になってるのか?
「だから、早くあそこから出したいんだよ。今すぐにでもな。兄さんは昨日から海外だから手薄になってる今しか無いんだよ」
西山心輝立ち上がり俺の肩を強く掴んだ。
ともだちにシェアしよう!