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第4話 救出 side心翔
穂波先生はワゴン車だから西山心輝が後部座席でひざ掛けに包まっていれば外から確認がしにくい。
俺と宇佐先輩と冬空は、一緒に下校して俺の家へと向かった。
校門を出たら見慣れない車が止まっていて男が2人乗っていた。
きっと西山心輝が言っていた見張りなのかも知れない。
「ただいま」
家に入るとリビングに、聖兄さんと穂波先生に西山心輝がソファに座り母さんの相手をしていた。
「心翔、新しいお友達はカッコイイわね」
「うん。そうだね」
母さんには言えないコイツが優ちゃんが失踪した原因なんて言えるだろうか?
きっと、取り乱し騒ぎ出すに違い無い。
「でも心輝君のお兄さんは、許せないわね。」
「えっ?」
「久遠、俺が話した」
何処まで話したんだ?
落ち着いているところを見ると犯されてるとかは話してないみたいだな。
「お邪魔します」
冬空と宇佐先輩が母さんに挨拶をしている。
優ちゃんが消えてから母さんは暗い表情が多かったが今日は少しだけ笑顔が見られた。
そしていきなりだった母さんがとんでもない事を言い出したのだ。
「お母さんも行くわ」
「えっと、うん。母さんの気持ちは分かるけど留守番しとこうか?」
「心翔は知らないけどお母さんは護身術は身につけてるのよ。貴方のお爺ちゃまが先生を付けてくれてね」
「良かったね。母さんが家にいてくれた方が優ちゃん喜ぶと思うよ」
周りの皆んなは、どんな反応をしたらいいのか分からず苦笑いをしていた。
「分かったわ。ならお爺ちゃまとお兄様に連絡しとくから心輝君だったかしら?家に暫く居なさい。なんなら息子になる?」
「あの・・・・・」
「母さん、西山先輩が困ってんだろ?止めろよ」
コイツが優ちゃんの失踪に絡んでるんだぞ。
そんな奴と同じ屋根の下で住めるかよ。
優ちゃんを救出する為に一緒に居るが内心同じ空間にいたくないんだよ。
それと母さんはお爺さんと伯父さんに何を話すんだ?
俺はこの時までお爺さんと伯父さんがどんな人達かなんて知らなかった。
色んな分野においてかなりの権力を持っているらしい。
母さんは駆け落ち同然で父さんと一緒になったから疎遠になってたが再婚を機にまた連絡をしているらしい。
俺はまだ会ったことはないけどな。
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