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第7話 救出 side心翔

俺らは急いで車の所まで歩いた。 移動中しきりに優ちゃんは心輝を気にしているようでたまに不安そうに『心輝』と消えそうな声で呟いている。 『大丈夫だから、安心しろ』 そう言ってやりたい気持ちはあるし今の優ちゃんは俺の記憶がないのは理解している。 けれど俺の気持ちがついていかない。 やっと会えてこの腕の中に優ちゃんが居るのに俺を見ていない。 俺を忘れている。 「早く乗れ。久遠」 「あっ、はい」 俺は優ちゃんを心輝の隣に座らせると車に乗り込んだ。 まだ見張りが追って来ないので安心をしたが優ちゃんは心輝を見つめている。 全員が車に乗り込むとゆっくりと動き出す。 優ちゃんにこれからの事を聖兄さんは説明をするがやはりそこでも心輝を心配している。 心輝は優ちゃんに自分が原因でこんな目に遭っていると話してはいるみたいだがそれでも優ちゃんは心輝を慕っている。 いつも隣にいたのは俺だったけど今は心輝なんだよな。 無意識だったが優ちゃんの手を握っていたらしくて俺の方を見て優ちゃんが手に力を入れてくる。 振りほどかないところをみると手を握っていても嫌じゃないんだと思うと嬉しくて優ちゃんを見て微笑んでしまった。 優ちゃんの顔は青白かったが少しだけ頬が赤くなっているように感じた。 優ちゃんの記憶が無くてもまたやり直せばいい。 また俺の隣で笑ってくれる様にゆっくりと仲良くなればいいんだ。 俺はどんな優ちゃんでも好きだから・・・。 好きだよ。

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