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第2話 学校

心輝は俺の方を見る事なく答えた。 「何もしてないよ」 「じゃあ、俺を見て話してよ。あの日以来おかしいよ心輝」 「気のせいだろ?」 「気のせいじゃないよ。俺は・・・・」 俺は心輝が好きなんだと言おうとしたら胸がズキッと痛くなり一瞬だけ心翔君の事が思い出された。 どうして心翔君を思い出したの? 「先に行くから、ゆづくんは後ろの心翔君と一緒に教室行きなよ」 「心輝。待ってよ!話し終わってないよ」 心輝が俺から離れていっちゃう。 泣きそうになっていると頭をポンポンとしてくれた人が居る。 誰? 「元気出せ。心輝は優ちゃんを嫌って無いから大丈夫だ」 俺の顔を覗き込む様に笑って言ってくれる心翔君が居た。 心翔君が俺に触れたり励ましてくれると自然と落ち着きを取り戻す。 親友だったからかな? 心翔君が俺を好きだと言ったのは今は会えない彼女と間違えたらしくて家に遊びに行った時に写真を見せて貰った。 俺は似てるか分からなかったけど心翔君と彼女は凄く幸せそうに見えた。 俺も女の子と付き合ったりするのかな? 「優ちゃん?」 呼ばれて気付いたけど俺ってずっと心翔君の顔を見てたよ。 なんか恥ずかしすぎる。 「なっ、なんでもないよ。早く教室行こうよ」 「そうだな。多分クラスの奴ら今の優ちゃん見たらビックリするかもな」 今の俺? 桃お姉ちゃんが俺の髪を弄りたいとお願いしてくるから弄らせたら髪色がライトブラウンにされてしまった。 先生に怒られないかと思ったけど金髪じゃなかったら大丈夫だと心翔君に教えて貰った。 俺はずっと1人で過ごしていたらしくて空気みたいな存在であだ名は学年2位けど心翔君達と仲良くなってからはずっと一緒に連んでるみたい。 心翔君みたいなカッコいい友達が居たなんて俺は信じられないよ。 さっきから女の子達が心翔君を見て何か話してるしやっぱりモテるんだよな。 心輝もカッコいいけどまた違うんだよな。 優しい感じで抱きしめられたら・・・。 うわっ、何を思い出してるんだよ俺。 病室で抱きしめられた事を思い出して顔が熱くなってきた。

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