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第8話 学校
「心翔。鞄持ってきてって、おいっ何やってんだよ。ここは学校です」
あっ、この声は譲くんだよね。
僕は慌てて心翔から離れようとしたけどしっかり腰に手を回されていて離れる事が出来なかった。
けど、心翔は1度ギュッと強く僕を抱きしめてくれて軽く唇にキスを落とすと離れてくれた。
「心翔、見せつけ過ぎだ」
「見せつけてんだ。嬉しすぎて抑えきかなくなりそうだった。ありがとうな譲」
譲君は心翔の頭に鞄を持ったままボスッと乗せるとニヤッと笑った。
「なんだよ良い事って記憶なくても両想いになって付き合いますって?」
「それも嬉しかったかもな。鞄ありがとう」
「勿体付けんなよ。心翔のくせに苛めっ子か?」
「勿体ないから教えたくない」
心翔が凄く嬉しそうに笑っている。
僕が記憶を失くしてからこんな嬉しそうに笑う心翔を見た事がない。
いつも寂しそうな笑顔だった。
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