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第9話 学校
2人のやりとりを見てると僕も楽しくなってしまいつい声を出して笑ってしまった。
「ふふっ」
「優月。笑うと可愛いな」
譲君が笑ってる僕を見てニコニコしながら近づいてくるけどそれは心翔に止められた。
「譲は近寄んなよ。優ちゃんが馬鹿になるからあっちに行けよ」
「なんだよそれ?なら鞄寄こせまた教室に戻してきてやるからさ」
「はっ?譲の分際で何言ってんだよ。テストの時に勉強見てやんないからな」
譲君はため息をついてうな垂れてしまった。
「心翔。譲君をあんまり苛めたら駄目だよ」
「優月は、優しいよな。コイツと別れて俺と付き合う?」
心翔と別れて?
もしかしたら譲君は僕達が付き合ってる事を知ってるの?
だったら心翔とのやり取りもすんなりと納得できる。
「譲。何言ってんだよ。茜ちゃんに怒られるぞ」
「冗談に決まってるだろ?俺は茜一筋だからな」
「あの・・・讓君は僕達が付き合ってるの知ってるの?」
「あっ、うん。て、記憶戻ってんの?」
讓君はまた僕に近づこうとして心翔に止められている。
「譲の事は忘れたらしいけど俺の事は思い出したんだよ」
「イヤイヤ、今気づいたけど優月が俺を下の名前で呼んでる。記憶ない時にお見舞い行った後は久保田君って言ってた」
「譲。気付くの遅い」
僕は記憶が失くした時に確かに久保田君と呼んでいた。
記憶が戻ったから呼び方が譲君になったんだよね。
心翔の事を思い出せて嬉しいけど皆んなの事も思い出せたからよかった。
本当に思い出せてよかった。
「俺さ、中学からの親友なのにどうして冬空に先に教えたんだって怒ったけどさ。心翔があんなに必死になってるの初めて見てさ。本気で好きなんだなって思ってさ。見つかった時は俺も泣いちゃったよ」
「今も泣いてんじゃんよ。譲」
「うるせぇっ。目から汗が出てんだよ」
譲君が僕なんかの為に泣いてくれてる。
凄く凄くそれは嬉しくて僕もつられて泣いてしまった。
心配させてごめんね。
ありがとう譲君。
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