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第5話 学校 side心翔
授業が終わるまで優ちゃんは教室に戻って来なかった。
「先生、まだ目が覚めないんですか?」
「そうだな。悪いが僕は今から少しだけ席を外すから八坂を頼めるか?」
「はい」
俺はパイプ椅子をベッドの横に置くと優ちゃんの左手を握った。
まだ顔色が悪くて少しだけうなされている。
「優ちゃん」
俺は優ちゃんの名前を呟き優ちゃんの左手を自分の口元に引き寄せると左の薬指にキスを落とした。
優ちゃんの左手に力が入ったかと思うと俺の名前を呼びながら優ちゃんが苦しそうにしている。
「優ちゃん!」
俺は思わず名前を呼んでいた。
すると優ちゃんの瞼が少しずつ開いてきて俺の名前を呼ぶ。
「ま・・・な・・・」
俺はパイプ椅子から立ち上がり優ちゃんを覗き込んだ。
優ちゃんの意識がハッキリとして大丈夫と言う。
それから自分がどうしてここに居るかとか聞かれた。
「もう大丈夫だから教室に戻るよ」
俺、駄目だ。
優ちゃんを抱き締めたい。
そう思ったら身体が勝手に動いて優ちゃんをベッドへ押し倒すように抱き締めていた。
優ちゃんにしばらくこのままでと言うと黙ってそれを受け入れてくれた。
「心翔君、いつまで・・・・・ウゥッ・・・・・」
優ちゃんから離れたく無いと思った俺は強引に優ちゃんにキスをした。
最初は抵抗していたが俺が舌を絡めると優ちゃんも応えるかのように舌を絡めてくる。
角度を変え優ちゃんを夢中で求めたが優ちゃんから聞こえて来たのは泣いている声だった。
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