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第7話 学校 side心翔

「心翔。鞄持ってきてって、おいっ何やってんだよ。ここは学校です」 このタイミングで譲来んなよ。 俺は心の中で舌打ちをした。 優ちゃんが離れようとするけど俺は離さないように腰に手を回して動けなくした。 優ちゃんは泣き止んだろうか? 譲になんか可愛い優ちゃんの泣き顔を見せたくない。 優ちゃんの事だから譲が来たことで泣き止んでるだろうな・・・名残惜しい。 俺は優ちゃんをきつく抱きしめると軽く唇にキスをすると離れた。 「心翔、見せつけ過ぎだ」 「見せつけてんだ。嬉しすぎて抑えきかなくなりそうだった。ありがとうな譲」 本当に助かった。 あのままだったら優ちゃんを抱いていたからもしれない。 俺の頭に鞄を置いて意味ありげな笑い方をする譲。 「なんだよ良い事って記憶なくても両想いになって付き合いますって?」 「それも嬉しかったかもな。鞄ありがとう」 「勿体付けんなよ。心翔のくせに苛めっ子か?」 「勿体ないから教えたくない」 何言われても今は笑って許せるくらい嬉しくて仕方がない。 多分、譲に殴られても笑ってるかもなぁ〜。 俺らのやり取りを見ていた優ちゃんが笑った。 久しぶりに優ちゃんの笑う顔を見たかもしれない可愛いと思っていると譲が優ちゃんに近づいていくから俺はそれを止めた。 「譲は近寄んなよ。優ちゃんが馬鹿になるからあっちに行けよ」 「なんだよそれ?なら鞄寄こせまた教室に戻してきてやるからさ」 「はっ?譲の分際で何言ってんだよ。テストの時に勉強見てやんないからな」 譲はため息をついてうな垂れた。 「心翔。譲君をあんまり苛めたら駄目だよ」 「優月は、優しいよな。コイツと別れて俺と付き合う?」 何言ってんだ譲。 ふざけた事を言ってると茜ちゃんに怒られるからな。 「譲。何言ってんだよ。茜ちゃんに怒られるぞ」 「冗談に決まってるだろ?俺は茜一筋だからな」 「あの・・・讓君は僕達が付き合ってるの知ってるの?」 「あっ、うん。て、記憶戻ってんの?」 だからイチイチ優ちゃんに近寄んな。 「譲の事は忘れたらしいけど俺の事は思い出したんだよ」 「イヤイヤ、今気づいたけど優月が俺を下の名前で呼んでる。記憶ない時にお見舞い行った後は久保田君って言ってた」 「譲。気付くの遅い」 やっぱり譲は鈍感だった。 「俺さ、中学からの親友なのにどうして冬空に先に教えたんだって怒ったけどさ。心翔があんなに必死になってるの初めて見てさ。本気で好きなんだなって思ってさ。見つかった時は俺も泣いちゃったよ」 「今も泣いてんじゃんよ。譲」 「うるせぇっ。目から汗が出てんだよ」 優ちゃんも譲につられて泣いている。 せっかく泣き止んでたのに・・・・・。 でも譲が、俺達を受け入れてくれた事には感謝している。 ありがとうな譲。

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