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第2話 文化祭
「茜まだ?」
準備するからと先生に準備室を用意してもらったその教室の外で譲君がシビレを切らして話しかけてくる。
「入っていいわよ。あっ、心翔君も居たのね。可愛いから2人共」
「マジで、茜見せてよ」
譲君が茜ちゃんを押しのけて教室に入ってきた。
「ちょっと、心翔君より譲が先に入ってどうすんのよ」
「いいよ。茜ちゃん気にしなくても大丈夫」
心翔の声だ。
心翔は僕を見て可愛いよって言ってくれるかな?
「ズゲェ〜。流石茜だな。2人共女の子にしかみえないよ」
直は少し譲君が苦手なのか僕の後ろに隠れてしまった。
「大丈夫だよ。直」
「うん」
それを見ていた茜ちゃんが譲君の側に来て背中を叩いた。
「怖がってるからガツガツ行くの止めなさいよね」
「ガツガツって、分かったよ」
その後ろから心翔が僕を見ていた。
けど何も言ってくれなくてやっぱり不安になる。
前にも同じ事があった気がする。
「心翔、僕変かな?」
心翔がゆっくりと僕に近づいてくる姿を見て僕はドキドキした。
心翔も執事の格好していて凄くカッコ良くて顔が上げれないと下を向こうとしたらスッと腕が伸びてきて顎をクィッと持ち上げられた。
うわっ・・・。
心翔の顔が近いって・・・。
「優ちゃん。可愛いよ。でも他の奴に見せたくない」
「あっ・・・うん。でもね」
「分かってるよ」
良かった。
分かってくれていた。
「虫除け」
心翔は僕の首に顔を埋めると唇を当ている。
もしかして・・・。
慌てて心翔から離れようと胸を押そうとするがその手は手首の所で両方とも掴まれてしまった。
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