357 / 903

第3話 動物園

「あっ、俺達邪魔だったか?心翔」 この声は心輝? じゃあ直も一緒にいるんだよね。 「気にするなよ心輝。適当に座ってイチャついてたら冬空達来るんじゃないか?」 「はぁ?何言い出すの心翔。バッカじゃないの離してよ」 「バッカじゃないのは優ちゃんだろ?冗談だよ」 僕と心翔の言い合いを直は心輝の後ろから覗き込んで不安そうに見つめていた。 「悪いけど直が怖がるから止めてくんないかな?」 「あっ・・・・・心輝。僕は大丈夫だからね。だから・・・ひゃっ」 「その顔が大丈夫に見えないから言ってんだよ」 心輝は直の顔を両手で包み込み鼻が当たりそうなくらいまで顔を近づけていた。 直が顔を真っ赤にしてる。 「優ちゃん。心輝もイチャついてんじゃん」 「そうだね。うん、なんか仲良くていいね心輝と直」 「妬けちゃうか?」 心翔は意地悪く僕に聞いてくる。 僕はブンブンと首を横に振ると心翔は優しく頭を撫でてくれた。 心翔が気になってる事は分かっているんだ。 記憶を失くしていたとはいえ僕は心輝に思いを寄せていたんだ。 その気持ちはまだ心の何処かに眠っているんだよ。 それが目を覚ましたりとかはあり得ないけどね。 僕は心翔に夢中だから大丈夫。 「心輝と直、座ったら?」 心翔が抱きしめていた腕を緩めると心輝に空いている所を指差した。 「そうだな」 心輝は指をさした所に直を先に座らせてから自分が座った。 「ところでさ、直は心輝に彼奴らの事は話したのか?」 「心翔。それを今話すの?」 「優ちゃんが気にするからハッキリさせたいんだよ」 きっと直の事だからまだ日野達の事を心輝には話してないだろうと思っていた。

ともだちにシェアしよう!