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第7話 動物園
「心輝。好きだよ」
「うん。知ってるよ。俺も直が好きだよ」
直の不安そうだった顔が耳まで真っ赤にして照れている顔に変わる。
「可愛すぎだ直」
「僕は可愛くないけど心輝はカッコいいね」
そう言って直は恥ずかしくなったのか両手で顔を覆ってしまった。
「直、顔見えないから隠さないで?」
「見ないで恥ずかしいから・・・・・」
俺は直の手の甲に軽く唇を触れると指の隙間から俺を見ている直の目と俺の目が合った。
直は慌て指の隙間を無くそうとしているが俺は手首を掴み顔から手を退けて頭の上で両手を固定した。
「あ・・・し・・心輝・・・・・イヤっ・・・・・恥ずかしいの・・・・・」
「うん。これからもっと恥ずかしくなる事するから大丈夫だよ」
「へっ?」
俺は直の服をめくり上げて身体を見てみると至る所に青くなったアザや赤いアザが目に入ってくる。
「直・・・」
直の名前を呼ぶ事しか出来なかった。
こんな沢山のアザがあったら絶対に痛いはずなのに直は俺の前ではいつも楽しそうに笑っていた。
辛い顔なんて見せた事が無い。
「イヤっ・・・見ないで心輝」
身体中のアザを見られて泣きそうな顔になる直。
俺はアザにそっと触れて直の頭の上で掴んでいた手を引っ張り上げて自分の腕の中に直を抱き寄せた。
「直、アザ痛いか?」
「少しだけ・・・痛い」
「俺には無理するな痛いなら痛いって言えよ」
「うん」
返事はするがまた1人で耐えるんだろうなと思ってしまう。
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