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第5話 動物園 side心
直が下を向いている。
代わりに俺が話そうとすると震える声で答えたがなんだか様子がおかしい。
直は下唇を噛み何かを耐えているようにも見えたが心翔も色々聞きたそうにしているから少しだけ俺も話した。
「聞いたのはさっきだけどな。肩触ったら痛がるから問い詰めたんだ。様子もおかしいかったしな」
「ごめん・・・なさ・・・・い。心輝」
「ちょっと待って、昨日は僕と帰ったから何もされてないはずでしょ?」
ゆづ君も直が心配なんだとわかる。
でも直がやっぱり言いにくそうにしている。
「えっ・・・と・・・・・」
「はぁ〜っ。直の後をつけてゆづ君と別れると公園でヤられたんだよ」
直が俺の服をまたギュッと掴んで下を向いた。
やっぱり何かをまだ隠している気がする。
「ごめん。直・・・・・気づいてたらなんとか出来てたのに・・・・・」
「大丈夫だよ。いつ・・・も・・・あっ・・・」
「直、いつもって言いかけたよな?さっき昨日だけとか言ってなかったか?」
俺がそう言うと直は身体を強張らせて泣きそうな顔で見てくる。
きっとここで話したらゆづ君と心翔にも心配をさせてしまう。
心配をさせたくないから直は黙っていたんだと思う。
「ごめん。直と俺の部屋行くから宇佐先輩達が来たら呼びに来てくれるか?」
「あっ、うん」
「直、来い」
このままだと俺も怒りを抑える事が出来ない。
直もきっと俺達に知られて動揺しているはずだから落ち着かせてやりたい。
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